荒汐部屋 目次

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令和3年七月場所を前に――最近のあれこれをオンラインインタビュー

各所必死の対策により,ようやく開催にこぎつけた令和三年七月場所。名古屋の皆様の前で,また相撲を取ることができる,その期待と喜びをかみしめるように日々稽古に励んでいます。そんな荒汐部屋勢に,オンラインで最近の様子についてインタビューしました(ご担当:早川様。写真は荒汐部屋撮影のもの)。

食欲が落ち気味の梅雨時ですが,いつでも元気いっぱいモリモリ食べた子ども時代を思い出すべく?,好きな給食のメニュー,も尋ねました。

コロナ禍のなかでも,新師匠の下,着実にそれぞれ課題と希望をもって精進している様子をお伝えできればと思います。


若隆景(東小結)

photo:(三役昇進おめでとうございます)ありがとうございます。そうですね,まずは三役を目指して,特にこの1年は具体的な目標にしてやってきたので良かったです。まずはこの場所に勝ち越して,三役定着,その先にさらに上を目指していきたいと思います。

コロナに感染した時は発熱や関節の痛みがあり,1ヶ月稽古出来なかったので,まずは鈍っていた体を戻すことから。一月場所から三月場所までいつもより期間が長くあったことは幸いで,合同稽古にも参加できて良い稽古が出来ました。三月場所(西前頭2枚目,10勝5敗で初の技能賞獲得)は,震災から10年目の節目の時だったので,幕内上位という地位で活躍したいという気持ちが強くありました。先場所(東前頭筆頭,9勝6敗で連続技能賞獲得)は,前の場所の活躍が勢いだけの「すぐ上がって,すぐ下がった人」と思われないように,しっかり実力をつけてきたことを証明したい気持ちがありました。

photo:え?「関取はプレッシャーに強い人に見える」?いや~,どうなんすかね。自分,小学生や中学生の時はすごい「あがり症」で,そんな性格もあって全然活躍できなかったんですよ。それがいつから変わったのかは分かりませんけど,今はとにかく自分の相撲を信じて,自分の決めたことをしっかり準備する。そして自分は体が小さいので,「やってやるぞ」という強い気持ちを持って臨んでいます。上位戦はお客さんも注目してくれて盛り上がりますし,楽しみもあります。

この1年,荒汐部屋はコロナ感染もありましたけど,今はみんなすっかり元気になって相変わらず良い雰囲気でやっています。木曜日の自主トレーニングの日なんかはみんなでメニューを考えて,ワイワイ言いながら厳しい中にも楽しくトレーニングをこなしています。キツいことも,仲間がいるからできることってあるんですよね。

好きな給食のメニューは「レモンシャーベット」です。

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若元春(東十両三枚目)

photo:え?「関取のオーラを感じるようになってきた?」いやいや,そんな変わってないっすよ。まぁでもこの1年は関取に定着出来てますし,慣れてきたと言えば,慣れてきましたかね。っていうか,慣れてないと遅いっすもんね。

コロナの影響でこの1年ほど出稽古もできていませんから,稽古はアツシ(若隆景)と稽古することが一番多いですね。え?「若隆景関はこの1年でグンと強くなったのでは」って?はい。ヤバいっす。それは実際稽古してても感じますよ。自分はアツシのサンドバック・・・(苦笑)以前は自分もあの手この手でなんとか相撲になることもあったんすけど,今はどの手も封じられてますもん。印象的だったのは三月場所前の稽古で,自分の叩きにアツシが一回食ったことがあるんすよ。それ以来自分の叩きをめちゃくちゃ警戒するようになって,おまけに押す力,うまさ,早さ,全ての総合力が驚異的な成長曲線でグーンとアップしてるんで,もうなす術が無くなってきた感じになってきたっすね。アツシは子供の頃から負けん気がめちゃくちゃ強いんすよ。その負けん気は相撲の勝負に勝った負けたっていうだけの話ではなくて,相手に先手を取られたとか,不利な体勢になったとか,おっつけ決められたとか,勝負がつくまでの過程,その一つ一つでアツシは負けたくないんです。

寺井さん(荒篤山)の場合はまたアツシの成長とはちょっと違って,寺井さん得意の「押す力」この一点集中でガーっと伸びた感じっすね。以前だったら,自分が押されても残してまわし取ってなんとか対応できたりしたんですけど,最近は寺井さんのツボにハマったら,一気に土俵の外まで持っていかれちゃいますもんね。突進力ヤバいっすよ。弱点を補って総合的に伸びていく,というのも目指すべきかもしれませんけど,「一点特化型」で自分の長所をひたすら伸ばす,というのもアリかもしれませんね。実際そういう力士もいますし。

え?自分自身の目指す姿っすか?ん~,どうなんすかね。まぁ「若元春」というしこ名も定着してきてくれたと思うんですけど,やっぱりその根底に「剛士」がいるんですよね。「金剛力士像のような」強いお相撲さんになりたい,それは今も変わっていません。

好きな給食のメニューは「グリーンピースご飯」です。

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荒篤山(西十両十三枚目)

photo:(昇進おめでとうございます)ありがとうございます。おかげさまで,十両に昇進することができました。

そうですね,今は嬉しい気持ちと同時に,ようやく昇進できたという気持ちで,ホッとしています。先場所の相撲を振り返った時,一番印象に残ってるのは十両昇進を決めた給金相撲ではなくて,二番目に負けた相撲なんですよ。あの相撲,自分突いていってすぐに引いてしまって,そこを相手に一気に持っていかれたんです。引いてしまった自分に腹が立って,腹が立って。あの相撲で何かが吹っ切れました気がします。

昇進が決まってから,本当にたくさんの人たちから祝福してもらって驚いています。「横浜市から22年ぶりの関取誕生」ということで,先日は横浜市長さんに表敬訪問させてもらって,その時に横浜の有志の方々から化粧まわしも贈ってもらえると聞きました。ありがたいですね。十両に昇進できたと言っても,一場所だけでは応援してくれている人たちに申し訳ないので,まずは勝ち越して定着できるように一層頑張らないと,という気持ちにもなります。

師匠・荒汐の感想

photo:ジャスパー(荒篤山)の昇進?2~3年遅いよ。私が親方になってから,ジャスパーと一緒にもう一度相撲を一から徹底的に見直そうということでやってきました。一番重点的に行ったのは四股。ジャスパーは腰高なところがある。本当に下半身に効かせるには正しい角度で四股を踏まないといけない。ラクな四股では何回やったって意味がないんです。

先日,たまたま出かける用事があった先代が稽古中に降りてきたんですよ。先代は「俺のことは気にするな,お前のやり方でやれ」と言ってベンチに腰掛け,10分くらい稽古を見た後に「ジャスパーの四股が変わったな・・・」とだけ言い残して,出かけて行きました。

今ジャスパーは27歳。力士人生は本当に短い。ここから一気に上がるくらいの気持ちで臨まないと。関取に上がったら,相手はこれまで以上に研究してくる。これからは15日間の土俵。その中でどれだけ自分の相撲が取り切れるのか。関取になって上がったことで初めて分かること,初めて見える風景ってあるんですよ。これまで以上に自分の行動,言動に責任を持って,応援してくれる人のためにもまずは十両定着,そしてその上を目指してさらに恩返ししてもらいたい。

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若隆元(幕下西22)

photo:そうですね~,まぁ自分コロナに関しては関節痛が酷かったですね。膝,足首,腰が痛くて歩けないくらい。でもそれも期間的には2日間で,あとは風邪のような症状でした。三月場所の本場所の相撲でちょっと怪我があって先場所前はあまり稽古が出来ずに場所に入ったんですけど,怪我の状態は徐々に痛みもなくなって良くなってきています。

「若隆景関の付け人をしてて,本場所の集中力の高め方で思う事は」ですか?そうですね,その点は兄弟でも全然性格の違いが出てますよね。三男(若隆景)は相撲に集中する為に,相撲のことだけに意識を集中するタイプ。次男(若元春)は相撲に集中するために,相撲以外のことに意識を分散するタイプ。長男の自分はその中間ですね。自分長男ですけど,その点の立ち位置は真ん中(笑)

コロナの影響で支度部屋の風呂場の湯船を使うことが出来なくなったんですよね。自分取組前に汗をかきやすくしたいんで湯船に浸かってから取組に備えていたんですけど,今それは部屋で準備して場所に向かってます。あと生活面では,この1年は外食もあまり行けないから,その代わりに宅配サービス使いまくってたら,あとで請求書見てビックリしました。やべ~!こんなに使ってたのかよ,オレ!って(汗)。それから誕生日にアツシ(若隆景)が豆から挽ける本格的なコーヒーメーカーくれて,この機械で煎れるコーヒーがめちゃめちゃ美味いんすよ。コーヒー煎れまくりのステイホーム。

好きな給食のメニューは「わかめご飯」です。

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寛龍(三段目東56)

photo:先場所は大勝ちしたら幕下に上がれる可能性もあったので,悔しい場所になりました。いつか幕下に上がりたい。その気持ちはありますから。

自分コロナに関しては37,38度の熱が数日続くなぁ,という感じでした。それよりも堪えたのがモルが亡くなったことですね。昨年の11月です。荒汐部屋のペットが全員いなくなってしまいました。外で犬の散歩してる人とか見かけると,今でもハチや三吉と散歩をしていた毎日を思い出します。

最近は本場所であまり緊張しなくなりました。付け人やってるのが良いんだと思います。自分は若隆景関に付いて支度部屋で関取のアップの時に胸を出す役をやっています。その役をちゃんとこなさなくちゃ,と思っていると良い意味で自分の相撲は緊張感が解れて取れている感じがします。

好きな給食のメニューは「カレーライス」です。

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常川(三段目西59)

photo:この1年・・・そうですね,自分はやっぱりコロナ大変でしたね。39度くらいまで熱が上がって,咳が止まらず。入院9日間。体重も10kg落ちました。休場明けの土俵は,一場所休んだだけだったのにすごく長らく休場していた気がして,土俵に上がった時は「勝てるのかな・・・」という不安もあったんですけど,結果は5勝2敗。勝因は自分でも全然分からないです。今ではすっかり体重も戻ってきて,体調の方もこれままで一番良いのでは,と思うくらいです。体脂肪落ちて,筋肉量アップ。リニューアル。

まぁ,コロナのことを除けば,この1年で2度最高位を更新することが出来ましたし,相撲内容的には良くなってきてると思います。以前は頭下げてひたすら出ることしか出来なかったんですけど,最近は若隆景関から出し投げを教わっていたりして,相撲の幅が広がってきたかなと思います。リニューアル。

「ステイホームの楽しみ」は,自分の場合は読書ですね。昔はダラダラしてゲームばっかりの自分だったんですけど,最近自然とビジネス書やメンタルトレーニングの本を読むようになりました。そこから少しでも相撲の参考になることが得られればいいなぁと。リニューアル。

好きな給食のメニューは「コッペパン」です。

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丹治(三段目西71)

photo:先場所5番勝って,名古屋場所では最高位を更新することが出来たんですけど,最後の一番に負けてしまったことが悔しいですね。親方にも5勝と6勝では全然違うぞと言われました。

はい。この1年でだいぶ太りました。そうですね,25kgぐらい。全力疾走した時は急ブレーキで止まれなくなってきました(笑)。「以前はバク転出来たよね」?はい。今は絶対無理っす(笑)

これから1年の目標は「幕下昇進!」と言いたいところですが,まずは現実的に三段目の真ん中辺りで定着を目指します。今,立ち合いはつっぱりからの突き押しを稽古していて,親方にも「相手の体勢を崩してから四つになりなさい」と言われています。

幕下に上がったら外套着れるじゃないですか。自分入門したばっかりの時,寺井さん(荒篤山)や大波さん(若隆元)に遊びに連れていってもらったことがあって,その時二人が外套着てる姿見て思ったんすよ。「カッコ良いなぁ・・・」と。

この1年でもう一つ変化があったと言えば,高校を卒業したことですね。自分,入門した時から通信教育で高校に通っていたんですけど,晴れて卒業することができました。そして綿谷さんが今年から同じ高校に通い始めました。え?「後輩」綿谷さんにアドバイスを一言?

  • 稽古も勉強も手を抜くな。文武両道!!! by 丹治大賀

好きな給食のメニューは「鯨の竜田揚げ」です。

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飛騨野(三段目西76)

photo:この1年,親方が代わったので稽古の仕方がいろいろと変わりました。まず稽古の時間が短くなって,その分一番一番に集中しないといけないし,番数が少ない分「次の相撲ではこういう相撲を取ろう」と頭で考えるようになりました。これは自分だけでなく,皆んなそういう意識に変わっていると思います。木曜日はひたすら筋力トレーニングの日。すり足とか腕立てとか腹筋とかスクワットとかを稽古場で皆んなでやるんです。最初の1時間は全体で同じメニューをこなして,残り30分は各自やるべきことを。自分は若元春関が「これをやろう」と言われたことにひたすらついて行ってます。まぁ,自分で「今の自分は何をすべきか?」とか考えてもピンとこないんで,言ってもらえるのは有難いです。

そんな稽古の成果なのか,今までより前に落ちる相撲が少なくなってきたかな,と思います。この1年で最高位を更新(三段目40枚目)することも出来ましたし,力がついてきてるんだと思いたいですね。

まぁ,自分も今年で入門10年ですよ。早いもんですねぇ。え?「新弟子の蒼乃駿さんに10年選手の先輩からアドバイスを」ですか?

  • 耐える!!!  by 飛騨野幹人

好きな給食のメニューは「うどん」です。

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綿谷(序二段西48)

photo:コロナに関しては自分は味覚障害だけで,他は何もありませんでした。入院もする必要がなっかったので,ずっと部屋にいました。丹治と2人で部屋のあちこち消毒スプレーをシュッシュしまくってたら,床に水たまりが出来てました(笑)

体重はこの1年で5kgほど増えて,今93kg位です。相撲内容は中に入って潜って,出し投げなどを稽古しています。親方には四股や腰割りなど,基本を大事にするように指導されています。

今年1年で変わったことと言えば,通信制の高校に通い始めました。丹治が最近卒業した同じ高校です。え?「その点では,丹治が先輩で綿谷くんが後輩だね?」そうですね。でも丹治は全然頼りにならない先輩です。

好きな給食のメニューは「揚げパン」です。

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廣瀬(序二段東70)

photo:そうですね,自分コロナは熱が上がったり下がったりで,部屋では一番入院期間が長かったんじゃないっすかね。下がってきて,もう退院が出来るかな~,と思ったらまた熱が上がってまだ退院できない・・・みたいな。ばっちりダイエットして,今はもうこの通り全然元気です。

最近のちゃんこは内海さん(マネージャー・元荒獅子)が昼作って,夕方は自分が作るってのいうの感じですね。コロナの影響でちゃんこの食べ方もこの1年で変わって,以前は鍋,大皿を目の前に出して皆んなで囲んで食べるスタイルだったですけど,今は所謂「バイキング方式」に変わりました。一つのテーブルに料理並べて各自食べる分だけ持っていく。これは皆んなで話し合って「この方法が一番良いだろう」って考えてこうなりました。え?「廣瀬さんの得意ちゃんこ」ですか?そうですね,「パイタンちゃんこ」ですかね。鶏ガラを煮込んででとったスープのちゃんこ。そして締めのラーメン。

好きな給食のメニューは「冷凍みかん」です。

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蒼乃駿(序ノ口西9)

photo:鹿児島から来ました蒼乃駿駿(そうのしゅん・らん)です。よろしくお願いします。

お相撲さんになることに興味があったので,そのことを担任の先生に相談したら,先生がいろんな相撲部屋のホームページを見て調べてくれました。それで「この部屋が良いんじゃないか?」と勧めてくれたのが荒汐部屋でした。

体験入門に来たのが昨年の12月です。稽古を見た時はその迫力に圧倒されましたし,今でも稽古場では緊張しています。今は基礎練習が中心で,あとは押しとぶつかり稽古をしています。

photo:新序出世披露の時に化粧まわしを付けさせてもらって,初めて本場所の土俵に立った時「本場所の土俵はこんなに高いんだ~」と思いました。先場所(初土俵)最初の二番は緊張でガチガチでしたけど,三番目の相撲でハズ押しの相撲で勝てて,部屋に帰って来てから兄弟子たちに「良い相撲だったよ」と言ってもらえて,それから気持ちがほぐれた気がします。その後の相撲は,勝った相撲をイメージして,ハズ押しで攻めることを意識して取りました。結果的に3勝4敗で本場所を取り切った後は,「2週間ってこんなに長いんだ」と思って,精神的にも体力的にもヘトヘトになりました。

荒汐部屋の料理では唐揚げが一番好きです。お陰で新弟子検査の時に75kgだった体重が,今では82kgまで増えてきました。

好きな給食のメニューは「チキンとポテトの揚げ煮」です。

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