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赤井:天国から,地獄の試練へ

前編

髷を結った赤井

九月場所千秋楽前に,赤井が髷を結いました。昨年十一月の入門から1年を待たずに結えましたので,結構順調に伸びたのではないでしょうか。

髷を結ったら,ご祝儀とばかり親方・兄弟子から,おでこに「こんぱち」(いわゆるデコピンですね)を頂戴する風習があります。

6勝をあげた弟子のめでたいこの日,早速,荒汐ははり切って愛情たっぷりのこんぱちを授けます。

燃える荒汐荒汐:この日に備えて,エアロバイクを中心としたトレーニングで,体脂肪率17%まで身体を絞ってきたのだ。最高のこんぱちでお祝いしよう。

ヒット赤井:うげぇっ

。。。なんということでしょう。流血の惨事となりました。。。

それでもうれしいこのこんぱちでした。しかし実は・・・(中編につづく)

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中編

そんなうれしい千秋楽の赤井でしたが,どうも首の違和感が気になっていました。場所前は,充実した稽古で番数もこなしたのですが,その中のある一番以来,どうも気になる。頭から思いっきり当たっていく相撲が身上ですから,ちょっとした違和感でもとても気になります。

そこで,レントゲンを撮ってもらったり,鍼に通ったりしてみたのですが,違和感の原因がわからない。徹底検査だ,ということでMRIでスキャンしてもらいました。

すると,頚椎の一番上(環椎)が折れていることが判明。

ここで赤井は大きな決断を迫られました。

  • このままでも,日常生活を送る上では特に支障はなく,また,おもいっきり頭から当たらない限りでは,相撲も取れる。ただし,環椎は折れたままになるだろう。
  • 2~3ヶ月,首を完全に固定すれば,この骨折が治る可能性はずっと高い。ただし,復帰まで3ヶ月以上を要するだろうし,首の固定は苦痛を伴う。

荒汐とじっくり相談しましたが,赤井の決意は強いものでした。

「自分で納得のいく相撲が取れないまま続けることは,どうしても我慢できません」

おもいっきりぶちかます相撲こそが赤井の相撲。自分の道を貫くことを決意しました。荒汐もその意志に驚嘆しつつ納得です。

首を固定するといっても,鞭打ち症などで使うコルセットではなく,ハローベストという本格的な装具での固定になります。ハローは,こんにちはのHelloではなく,halo,つまり後光・光輪の意だそうですが,その名のとおり,頭の周囲にhaloの如く金属のリングを設け,そのリングを頭蓋骨に4本のボルトで固定して,さらにその固定したリングを,ベストとパイプで固定するという,大掛かりなものです。

このボルトは,局部麻酔の上,頭蓋骨にがっちりと固定します。そのため,ボルトの部分の清潔が求められますが,この髷が大きな問題に。と思う間もなく,赤井は5分刈りにしてしまいました。一度決めたら,一気に突き進むようです。

しかし,いざ装着を前にすると,さすがに恐ろしかった。まず髪が長いということで,5厘刈りに切りなおしました。あとは,見ると余計に怖いので,ひたすらぎゅっと目を閉じて,すべてが終わるのを待ちました。局部麻酔をしているとはいえ,ボルトが頭蓋に突き当たる振動を感じる。ぐりぐりと。

そうこうしてハローリングを装着,翌日ベストに固定して,赤井の完治に向けた戦いが始まりました。(後編につづく)

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後編

ベストをつけるまでは,勝ち越しの自分へのご褒美に買ったニンテンドーDSで遊んだり,TVを見たり,本を読んだり,と病院生活を満喫していたのですが,つけてからはその気力さえなかなか沸かない。

何より驚いたのが,食事量の低下。旺盛な食欲は,今まで毎日稽古をして身体を動かしていたことに支えられていたことを実感します。栄養計算ばっちりの病院食ベースで大丈夫なようです。

普段は,自由時間もほとんど部屋にいるという超インドア派の赤井ですが,エネルギーあふれる10代の青年には,さすがにずっと病室というのはなかなか堪える。歩き回ろうにも,まだハローベストに身体がなれず,立つのもしんどい。さらには,回復を進めるために高気圧酸素治療室(こういうものだそうです)にも入るのですが,何もしないで狭い部屋にいるのが退屈でたまらない。本を読もうにも首が下を向かないので,腕を上げて本を目の前に持ち続けねばならないので,長時間読めない。なかなか寝れない,などなど,こまかなストレスが次々とやってくるのと,なんとか闘っております。

それでも,頭の中は,もうずっと先のことしかないとのこと。しっかりなおしてから,どんな稽古をするか,プランをあれこれ考えています。先場所大勝したので前相撲まで落ちることはないと思いますし,復帰がホントに心のそこから待ち遠しいです,というのは切実な気持ちでしょう。

今頃みんな九州かぁ。三吉とハチ,つれてくの大変だったろうなぁ。序二段37枚目6勝だから多分番付は三段目だと思うんですけど,一番も取らなくても雪駄って履けるんすかね。履いてみたいっすねぇ。復帰したら優勝?いやいや,ほんと,どの地位にも強い人がいて厳しいっすよ。先場所も自分の相撲なんてほとんどなくて何とか勝った感じでしたし。でも,治ったら身体も一から作り直しになりますから,楽しみですね。あと,iPodを部屋のパソコンでも使いたいんですけど,家のXPと連携しちゃったんで,データ消えちゃいますよね。YamiPodとかml_ipodを使う?何すかそれ?

といまは,あれこれ思いをめぐらすしかない赤井ですが,その強い意志で,きっとよりいっそう強くたくましくなって戻って参りますので,どうか気長にお見守りいただきたくお願い申し上げます。最後に闘う赤井の姿をどうぞごらんくださいませ。

戦う赤井

今はなにより,じっくり,気楽に,完治に専念。

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今日の赤井 1

手術して1週間。はじめは,なんとなく鈍痛があったせいか,「も,もたないかも」とさえ漏らした赤井でしたが,最近は痛みもなくなって,それに,多くの皆様から励ましをいただいたおかげで,元気に!治療に励んでいます。

それでも辛いのが高気圧酸素治療室。暖かい部屋の中で,本も読めず(首が下を向かないから),じっとしているのはとにかく退屈だそう。そんなときは,雪駄何色かなぁ,雪駄早くはいてみたいなぁ,雪駄いつ履けるのかなぁ,と夢想して楽しくなるこのごろ。

体重も,入院直後は,数日で10kg以上減ったのですが,これがどうも自分で計ったせいか,きちんと計れていなかったようで,先日計りなおしたらまったく減っていませんでした。。。

時間がたつのが早く感じられるようになってきたので,骨も同じように早くくっついてしまえ!と願うこのごろです。2006-11-03

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今日の赤井 2

病院生活も快適になってきた今日この頃。しかし,九州では本場所が始まり,もどかしさがつのる毎日だと思います。そこで,様子を見てみますと,

「かっこいいっすねぇ。しぶいっすねぇ。いいっすねぇ。」

にやける赤井

なにやら,にたにたとやけにうれしそうです。今場所,三段目にあがりましたので,下駄を卒業して,待望の雪駄を履けるようになった赤井。早速,文京荒汐応援団の皆様に雪駄を贈っていただきました。

「モスグリーンにシルバーのライン,この配色も自分で選ばせてもらったんですよ。今まで服とか,明るい色合いのものが多かったんですが,自分の中でイメチェンして,濃い感じにしてみました。かっこいいっすねぇ。しぶいっすねぇ。いいっすねぇ。」テレビに映る本場所そっちのけで,雪駄を眺める赤井です。

「親方からのはどんな色のかなぁ(ぽわぁ~ん)。。。」本場所の土俵が毎日気になって焦ってどうしようもなくなっているのかと思いましたが,三段目に上がった喜びでそれどころじゃないようです。毎日多くの皆様に支えられて,この調子なら,完治までうまくメンタルコントロールできそうです。2006-11-17

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今日の赤井 3

一体,何か悪いことをして罰でもあたっているのかしらと思いたくもなるほど,苦難が続きます。

退院を目前に控えて,スヤスヤと眠っていた時のこと。何か頬につたうものが。。。

何と,ハローリングが少しズレてしまい,頭から血が!。よって,再び麻酔をして付け直し。

このおかげでまた数日鈍痛との闘い。さらに今度は熱も出たので,それとも闘い。あぁ。でも赤井は執念と根性で何とか乗り切って,無事退院できました。

今はハローベストをつけたまま部屋で暮らしています。午前中は,高気圧酸素治療室に通い,午後はとにかく時間が過ぎるのを待つ毎日。

「今この瞬間瞬間は,こんなに長く感じるのに,振り返ってみるとすごく早く時間が経っている。不思議な感じ。お医者様には,これで半分のりきったと言われれました。とりあえず,稽古をしていないので,栄養バランスにだけは気をつけてます。」

とのこと。あとはみんなで念じましょう。「くっつけー。くっつけー。」

さらに続く。。。

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