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2010-03-20更新

蒼国来,つかの間の凱旋帰郷

先場所(平成22年一月場所)は,周囲の心配をよそに,初の十両土俵を無事堂々と9勝で勤め終えた蒼国来。1月24日の千秋楽パーティー[その模様]を終えると,翌朝早々に,故郷内モンゴルへと旅立ちました。

いざ出発,即到着

朝,成田空港を出れば,北京空港を経て,その日の午後には内モンゴル赤峰空港に着くんですから,遠いようで実は近い,蒼国来の故郷[参考サイト:旅行ガイド「赤峰旅行ネットワーク」]。2年も帰らなかったので,心理的には遥か彼方のような気さえしてましたが,いざ行くとなるとすぐ到着です。

写真:蒼国来凱旋

とはいえ,そこは内陸,さすがに寒い。当然氷点下です。緯度は札幌くらいなのですが,大陸の冷たい風が身に染みます。この空気感が,帰ってきたなぁという気分にさせる。

写真:蒼国来凱旋

果てしない草原,

写真:蒼国来凱旋

果てしない大地,

写真:蒼国来凱旋

ばかりをイメージしがちですが,第10次五カ年計画(2001~5年)で実現された「西部大開発」もあって,大規模な都市・産業・交通等のインフラの整備が行われ,街の姿はガラッと変わったところもあるようです。

写真:蒼国来凱旋

たとえば羊たち。寒い中,サービスで親戚の羊小屋から出てきてもらいましたが,こうした定住型の牧畜はかつての内モンゴルではメジャーではありませんでした。今,生態環境の保全に力を注ぐ中国では,草原の回復を目指して「退牧還草」を掲げ,無限定な放牧・遊牧を認めない方向にあるそうです。映画でも,『白い馬の季節』や,57回ベルリン国際映画祭(2007年)で金熊賞を受賞した『トゥヤーの結婚(图雅的婚事)』(監督,王全安:ワン・チュアンアン)[amazonで購入]などで,そんな事情が描かれています。

さらに驚いたのは,2年ぶりに会う友人たちの顔が,歳をとっていたこと。「若者だったはずが,オジサンになってたよ。自分もそんなに歳をとったのかなあ」

しかし,景色はすっかり変わっても,変わらないのは人の心と人との絆。

写真:蒼国来凱旋

御祖父様・御両親との挨拶もそこそこに,早速親類縁者の皆さんが集って,お祝いの席を開いてもらいました。

写真:蒼国来凱旋

当然,羊料理がメインですね。蒼国来が大好きな血腸(羊の血の腸詰ソーセージ)も見えます。

翌日

写真:蒼国来凱旋

嬉しい宴を終えた朝,家族で羊料理を囲んで(朝も羊です。)の間の一家団欒。この日は,親戚の家に挨拶に行ったり,久しぶりの地元の空気を吸うことができました。

写真:蒼国来凱旋

地元の景色を眺めつつ,「どこも景色がどんどん変わるねぇ。こんな大きな発電所が突然できてビックリしたよ。私が子どもの頃は電線が張られて電気が来たときは大騒ぎで,私もその日は急いで学校から帰ってきました。電気ってどんなものだろうって。それ以前は,明かりも灯油ランプでしたし,満月なら月の光や,蛍を集めてランプにして,宿題をやったりもしてましたよ。本当にどんどん変わっていくね。」

大パーティー

写真:蒼国来凱旋

翌日は,朝からご家族はモンゴルの伝統服で,蒼国来と一緒に地元TV局の取材の時間となりました。

取材を終えると,今度は蒼国来も着物に着替えて,移動移動。

写真:蒼国来凱旋

会場に到着。と思ったら,

写真:蒼国来凱旋

すごい人。会場に入りきれません。「下の階も空けましょうか」「いや,関取の声が聞きたい,顔が見たいから,ここに立ってでも入っているよ」そんな声が聞こえてきます。

街中の人が駆けつけたのでした。親類友達ご近所さんといった知り合いから,市長会長大先生といった名士のみなさん,盛り上げ役の地元歌手まで,ものすごい熱気に包まれました。

それだけのことを成し遂げたのですね。

写真:蒼国来凱旋

家族親戚一同で,記念写真。これを終えると,次々と記念写真大会の開催です。

写真:蒼国来凱旋

そしてテーブルには,羊。

写真:蒼国来凱旋

祝宴の熱気が冷めることはなく,羊あり,祝辞あり,歌あり,そして遂には蒼国来まで歌を歌ってしまったのでした。「あまりにも激しく求められて,断りきれなくなって。。。歌だけはもう勘弁してください。これだけは無理なんです。」

再び日本へ

で,こうして蒼国来関取昇進凱旋帰郷の旅は終わるのでした。それだけ?そう,それだけ。

写真:蒼国来凱旋

帰りは時間がちょうど良い飛行機がなかったので,寝台バスに乗って北京まで。「この座を守り,そしてさらに上に上がって,これからはもう少しちょくちょく帰れるようにします。」家族に頼もしげに見送ってもらいながら,そう誓って故郷,内モンゴルを後にした蒼国来です。

写真:蒼国来凱旋

寝台列車のように,バスの中に寝台があるんです。

写真:蒼国来凱旋

起きたらそこはもう,巨大な北京首都国際空港。帰りは中央区民には便利な羽田空港行きです。

それにしても,久しぶりの帰郷だというのに,本当にあっという間の出来事でした。「祖父,両親に報告できて良かったし,どこに行っても盛大にお祝いをしてもらって嬉しかった。でも,疲れたぁ。あっちこっち行って,いろんな人に会って目が回りそうでした。東京について箱崎までのリムジンバスの席に座った瞬間,心のそこからホッとしました。一つのことを終えることができた,って感じで。」

「でも疲れたのに,本場所で落ちてしまった体重が,内モンゴルで戻ったから,やっぱり安心できるのかな。」

翌日からは,皇司(若藤親方)・潮丸(現,東関親方)両引退相撲に出席,さらにモンゴルの秘宝展見学[記事:今日の一枚],そして稽古も開始,とバタバタバタバタと過ぎ去った,初場所後の一週間でした。故郷でさらに高い目標を掲げて,新たな一歩を踏み出した蒼国来。今場所の活躍にご期待下さい。

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