荒汐部屋 目次

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式守一輝(しきもり・かずき)

行司 三段目格

気づけば入門して8年,土俵内外でしっかり仕事をこなす,荒汐部屋にとっても頼もしい存在になりました。力士とちがって星のような目に見えてわかりやすい成果はありませんが,日々の地道な積み重ねが今日へとつながっています。

―― 今年もおかげさまで無事に年を越すことができます,と言いたいところですけど,なんだかもう病気ばっかりしてた1年でした。毎場所のように風邪をひいてしまって,正直しんどかったです。原因? 飲みすぎでしょ。飲みすぎ。この歳にしてボディシェイプが中年化してきました。やばいですよね。

行司の仕事は,本場所の土俵で裁くほかに,裏であれこれ運んで走り回ったり,番付を書いたり(参考tweet),場所や巡業の準備をしたりといったことなんですけど(とにかくたくさん字を書きます。書いて書いて書きまくります),それで今年も全国あちこちまわらせてもらいました。中でも,秋田は印象深かったですね。「竿灯まつり」っていうお祭りを間近で見ることができたんです。たくさん提灯を吊り下げた竹竿がたくさん立つんですけど,それを頭とか腰とかいろんなところに乗せてバランスをとるんですよね。夜空にたくさんの提灯が上がるのは,幻想的な光景でした。竿灯を上げるのを自分で体験できるところがあるらしいので,いつか一度自分もやってみたいです。そしてなんといっても川反・大町五丁目界隈ですね。飲み屋天国じゃないですか。おっと,飲みすぎはいけないと言ったばかりでした。

そして,今年一番うれしかったことといえば,どうしても甥っ子,姪っ子の話になってしまいます。「にぃにぃ」って呼んで離してくれないんですよ,それで(この話になると終わりが見えないのでこの件はこのあたりで・・・)

え,来年の抱負ですか? まずは健康に留意します。つまりダイエットします。これから未来永劫しっかり呑めるだけの健康な体,じゃなくて行司の仕事に万全の体調で取り組める体を養いたいと思います。まあ見といてください。

写真

写真:「おかみさんがプレゼントしてくれました。クリスマス・プレゼントに何をつめて贈ろっかなぁ。でへへ」

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突光力(とっこうりき)

15勝8敗19休 2場所勝ち越し[星取表

19休とあるように,ほぼ半年を治療に振った突光力。しかし,勝率だけ見れば6割5分と部屋2位の成績が物語るように,2場所で一気に三段目復帰。1年全体を振り返ると・・・

―― 去年は波乱万丈の1年でした[去年のコメント]が,今年は波乱万丈ではすまない1年になりました。ひとことで言えば,つらい年でした。特に前半・・・。19休っすよ,19休。半年動けませんでした。

でも,三段目にもどって,これで九州で勝ち越してたら,「いやぁ今年はいろいろあったけどいい年でしたよ」って,『栄光の架橋』(歌:ゆず,作詞:北川悠仁,2004)の「悲しみや苦しみの先に それぞれの光がある」じゃないけど,栄光の一年になってたんです。そこに向かって9日目,11日目といい感じで連勝して迎えた今年最後の取り組み,だったのに・・・いまだにムカついてしょうがない! まぁ,思ったより早く戻ってきたことでよしとします。

一月のことは思い出すだけでゾっとします。とにかく痛い。ずっと痛い。痛くて翌日の朝まで眠れませんでした。脱臼でまわりの靭帯が全部切れたんですけど,ブチブチブチってあの音は二度と忘れられない。あれ以来,誰のでも小手投げ自体,こわくて見てられません。それで,三月はストレスのピークでした。稽古場にもほとんど下りてません。なんとか五月の最後の一番には出られるまでになったんですけど,あの五月の一番はホント怖かったですね。これでヤってしまったらもう終わりだ,と思って。2~3日前からまともに寝付けませんでした。

で,ようやく復帰した七月。ま,こんなもんでしょ(5勝)。最後,なぜか自分から差しちゃって,もう危ないから,ほとんど対抗せずに負けました。

そして九月,引退した大小林に,「見とけよ。6勝してくるからな」って宣言してきたんです。この約束を果たせたのが良かったです。しかも6つのうち5つは有無を言わさぬ圧勝。最後の一番は,これで勝ったら三段目,負ければ序二段25枚目くらいっていう,天か地かって一番になりました。思いのほか低く来られましたけど,こっちもなりふり構わず思いっきり飛んで,ギリギリのところで残っての勝ち。この6勝目には,さすがに感動しましたよ,自分自身に。感涙です。

さぁ,宴もたけなわとなってまいりました・・・って,まだ十一月があるのか。うーん,なくていいのに。ふぅ,十一月は前半どれもこれもバタバタと相撲じゃなかったですね。未だにハラ立つ。

今年全体を振り返ると,怪我ではじまったけれど,人の温かさをもらった一年だったという感じです。怪我をしても,大丈夫か,といろんな人から声をかけてもらって。それから,自分の相撲を知った年でもあります。とにかく自分は止まったら終わりだと。相手が嫌がる,動かない相撲を取るってことがすべてだと。こういうことは怪我してなかったら,たぶん想像もしなかったことだと思うんで,ぜんぶ何もかも宿命だったんだと思うことにします。

来年の目標ですか? 自分なりに目標はありますが,それは自分の心の中にとっておくとして,そろそろもう一皮むけねばならない時かな,と考えてます。ゆっくりしてる時間はないんだ,って。あれ? なぜか自分がこういうこと言うと,なんか別の意味にとられがちなんですけど,あくまでも,もうひとまわり強い力士になる話をしているんですから,そのあたりよろしくお願いします。それ以外の意味は断固ないですから。あ,あと,体重を110kg代にしておきたいですね。

写真

写真:相撲が取れる,稽古ができる,その喜びを誰よりも痛感した一年だった突光力。しみじみと今年を振り返る。

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