荒汐部屋 目次

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平成23年 七月場所の総括

暑い名古屋の夏,15日間を戦いぬいた平成23年七月場所。荒汐部屋勢は,30勝33敗,勝ち越し4名という結果となりました。そんな荒汐部屋勢それぞれの,今場所の総括を,千秋楽パーティーの席で聞きました。記事はすっかり恒例,早川様によるスペシャルインタビューでお届けします(※写真のコメントと「おまけ」のみ当編集部による)。

師匠 荒汐

本日は後援会の方々をはじめ,このように大勢の皆様にご来場頂きまして誠にありがとうございます。今場所,部屋の勝率は4割8分,残念ながら5割を達成することが出来ませんでした。先場所は6割1分を越え,また協会の内情で底上げがなされた結果,とんでもないところまで番付が行ってしまった力士が何人かいます。そんな状況で,やっぱり番付は正直です。今場所2勝5敗力士が3人,これは本当に家賃が高くて,また下がるべきところまで下がる人間であります。そんな中で一人,序二段の7枚目で4勝3敗,来場所三段目に上がるという力士もおります。今場所勝てた力士も,勝てなかった力士も,強くなる為には何より稽古しかないんです。これから東京に帰りまして,力士は一生懸命稽古し,そして私は一生懸命稽古させますので,また今後ともよろしくお願い致します。

それでは,千秋楽は私が力士一人一人の批評をすることが恒例となっておりますので,これから力士一人一人の今場所を私がふり返っていこうと思います。

福轟力。3勝4敗です。稽古の姿勢から,稽古の量から,うちの部屋で一番一生懸命やっている力士です。ただ首を骨折しまして,自分の相撲を変えなくちゃいけない,ということで今まさに相撲を作り変えているところなんです。ただやはり幕下上位に行くとなかなか勝てません。ですから一日も早く自分の型で相撲がとれるように,私も一生懸命指導していきますので今後ともよろしくお願い致します。

大波。今場所は三段目81枚目で4勝3敗でした。あの位置で4勝では私は全く納得いっていません。今場所はせめて5番,いや最低でも5番は勝てるんじゃないかと思っていたんですけど。本当に残念です。

突光力。今場所は先ほど言いました2勝5敗の一人。ちょっと家賃が高かったかな,と思います。もっともっと前に前に出る相撲を研究しなきゃいけない。わかった?(突光力)「はい。」

荒篤山。え~4勝3敗ですが,来場所三段目に上がります。(拍手)。序二段までは下駄なんですが,三段目に上がるとセッタが履けるようになるんです,雪駄。序二段までは,相撲は負けてもカッタカッタ(勝った勝った)と音がするって言われるんですけど,これからは雪駄ですから相撲に勝たないことには勝ったと言ってもらえません。今まで以上に稽古しないと,すぐ序二段に逆戻りしてしまいます。それは本人もよく分かっていることと思います。そして私は東京に帰ったら雪駄を買ってあげなければなりません。ははは(笑)。(拍手)

力山。今場所は稽古始まって3日目に足首骨折して休場です。終わり。

え~光。荒獅子。ちゃんこ長です。ちゃんこの方は一生懸命やってますが,稽古の方はイマイチなんで3勝4敗だったんですけど,まぁこんなもんだと思ってます。ハイ。

廣瀬。えーっと,2勝5敗です。番付が上がりすぎました。家賃が高い。まぁこれからもう少し家賃の安いところに引っ越さなければなりません。はい。終わり。

寛龍。2勝5敗。ちょっと稽古が足りません。もうちょっと四股踏んで,もっとキチっとやれば,素質は良い物を持ってるんですけど。なかなか人の言うことを聞かないんで,ちょっと困ってます。はい。

荒行志。え~今場所は5勝2敗です。今場所は序二段58枚目で,もぉ~私は3番勝てれば上出来じゃないかと思ってたんですが,よく5番勝ちました。ホントーーにびっくりしました。もうホントに,皆さんから温かい拍手でも頂きたいくらいです。(大拍手)。

大小林。5勝2敗です。まぁ,あの位置だと5番くらい勝ってフツーかな,と私は思ってますけど。稽古場ではかなり力は出るんですけど,本場所に行ったら緊張して力が出ないんです。3割ぐらいの力しか出ないんですねぇ。今場所よぉ~~5番勝ったなぁと思って。本当に。頑張ったと思います。おめでとう。(拍手)。

私からは以上です。あとは本人たちから聞いてやって下さい。

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福轟力(幕下東22:3勝4敗)

写真:福轟力全く通じませんでした。今の実力だと全然通用しません。首のケガからここまで順調に来れてたんで,このまま勢いでイケルかなと思ったんすけど。甘くなかったっすね。

2連敗でスタートして,六日目に勝てた相撲も,最初相手に押し込まれて苦し紛れの叩きで勝った相撲っすからね,全然ギリギリなんすよ。良かったのは千秋楽,突き倒しで勝った相撲だけでした。

今場所は初めて十両の土俵入り後の相撲を経験しました。あの十両土俵入り後の幕下の取組って,十両力士が化粧廻しから締め込みにつけ替える為の準備時間なんですよ。自分が控えに来た時にはもう関取用の座布団が敷いてあったんで,「え?自分が座ってもいいんかな?」と思って一瞬迷いました。土俵の向こうの対戦相手の動きをチラ見して,その力士が座布団に座ったの確認してから自分も座ったっす。塩まいたりするのも初めてだったんで,前の力士の所作をじっーーーと観察してました。

いま体重の方は145キロぐらいっす。3月・4月はなんだかんだあって,5月場所は137キロで場所に入ったすから,かなり戻ってきたっすね。理想を言えば,あと10キロくらい欲しいっす。パワーアップしたい箇所は全パーツっす。でも以前と比べたら食べれなくなったっすね。場所前カレー屋さんに連れていってもらった時,「1.5キロ」頼んだんすよ。それが「米+カレーの合計で1.5キロ」かと思ったら,「米1.5キロ+カレー」だったんで,胃がはちきれそうになりました。全部食べきりましたけど。

(写真:応援いただく方からの温かい励ましが心にしみる感涙の福轟力。その心もちも,苦難で得た福轟力の大きな力。)

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大波(三段目西81:4勝3敗)

写真:大波いやぁ,親方も言ってましたが,自分でも今場所5番は勝ちたいと思ってたんで,4番では悔しいっすね。

初日は190キロくらいある相手が,考えた相撲取ってきて,相手十分とは逆の差し手から差しにきたんすよ。おーとか思って一瞬戸惑ってるうちに相手に差されて,自分も抵抗したんすけど最後は小手投げで負けました。7日目に負けた相撲は,変わりながら上手取りにいって投げにいったら,体あずけられて寄り倒されました。今日,千秋楽負けた相撲は・・・。んんん・・・。これは悔しいんで思い出したくないっすよ。いやぁ~,相手は自分より2期後に相撲未経験で入ってきた16歳。体も110キロくらいでそんなに大きくない相手に,熱戦になって負けるんならまだしも,3秒で一気に持っていかれて寄り倒されましたからねぇ・・・。なんせ相手は相撲始めてまだ5場所目くらいっすよ。

(廣瀬)「大波は相撲経験10年以上だっけ?」

ちょっと!!!それを言わないで下さいよ!いや~,もうこの悔しさは稽古して晴らすしかないっす。

(写真:思わぬ腕相撲の強敵出現に苦笑い。しかし,半年ぶりの「本場所」の雰囲気は大波の闘志に火をつけた。来年は秒殺の力で帰ってきます。)

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突光力(序二段東6:2勝5敗)

写真:突光力自分的には今の番付,家賃が高いとは思ってないっす(キッパリ)。初日は,先場所序ノ口優勝力士とあたって,寄ってきた相手を寄り返して,極められて,また寄っていったら土俵際ブン投げられました。連敗スタートになって,三番相撲は180キロぐらいのデカイ相手に前褌取って寄って寄って寄り切れなくて,土俵際右上手取られてブン投げられました。クソー。どれも,あと一息なんすよ。

さすがに3連敗スタートで,気持ちが折れかかって結局5連敗になった時は頭が飛んでました。2日間眠れなくて,昼寝も出来きんかったすよ。

六番相撲でようやく初日が出ました。この相撲は3秒で相手をふっとばしました。言うなれば,「突光力りました!!!」 もお~5連敗の悪夢はこりごりっすからね。

今場所は自分が6枚目,ジャスパー(荒篤山)が7枚目と番付が近くて,本当は二人で三段目上がりたかったんすけどね。同時昇進が果たせず悔しいんで,またこれから精進するっす。来場所は,全取組で「突光力ります!!!」

(写真:一応Vサインはしてみるが,悔しさがにじみ出てしまう突光力。)

とっこうりき・る【突光力る】[動ラ五(四)]― 前に前に突進する突光力の相撲を実現すること。〈語源〉師匠が「突光力」のしこ名に込めた想いに由来。突光力による造語。

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荒篤山(序二段西7:4勝3敗)

写真:荒篤山来場所,雪駄(三段目)っすよ・・・エヘヘ。イヒヒ。

今場所は渡(わたる:大波)に教えてもらった通り,3番を目標にしていったっす。初日はバン・バン・バ・バーーン!って押し出して,次の相撲は相手に変化されてもガー!っとガッチリ残ってその後ドーン・バーンて押し出したっす!初日からポン・ポン・ポーン!て3連勝したら,周りから「あと1番勝ったら三段目だぞ!」ってプレッシャーかけられました。

(筆者)「ジャスパー(荒篤山)も緊張すんの?」

そりぁ緊張したっスよ。その後の2番は体がカッチンコッチンになって動かなくて相手に一方的に押し出されたっす。次の甲龍山戦は,最初自分が片手ついたところで相手がバーって出てきて,土俵際までボーンってすっとんだんすよ。行司待ったになって,それでちょっとイイ感じに緊張感が抜けて,結局勝てました。めちゃくちゃ嬉しかったっす。でも逆に最後の大若戦はめちゃくちゃ悔しいっす。押してったんすけど,相手が残ったところで引いちゃったんすよ。しかも訳わかんないタイミングで。自分,引くと負けます。やっぱ,ラクに勝とうとしちゃダメっすね。

来場所は三段目なんすねぇ・・・。負けてもいいから,とにかくガンガン前に出る相撲取るっす!!!雪駄。雪駄。ウヒヒー。

(写真:兄弟子の祝福の握手に堂々と応える荒篤山。初の2場所連続勝ち越しで,見事チャンスをものにしました。関取昇進がゴールにむけた目標なら,この雪駄はスタートにむけた目標とでも呼びたいものです。特に相撲経験なく入門した力士にとっては,雪駄を履くその時こそ,いよいよ「自分の」相撲人生の始まりを実感する時ではないでしょうか。荒篤山の第2ステージをどうぞ皆様楽しみにお見守り下さい。)

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力山(序二段西11:右足首骨折のため全休)

写真:力山あ“~も~。何しにここ(一宮)まで来たんだろう,って感じっす。こっちきて稽古始めて3日目に足首骨折。最悪っす。特にヘンな格好になったとかじゃなくて,疲労が溜まってコキっといっちゃったらしいっす。これまで途中休場はあったっすけど,全休は初めてだったんで,何か毎日ヘンな感じでした。来場所は序二段優勝で復活するっす!

(突光力)「リキさん,来場所は二人で優勝決定戦やりましょうよ!」

それは無理。吉田(突光力)がコケるんで。とりあえず,まぁ全勝はアレっすけど,6番勝ってみたいっすね。今まで5番は何回かありますけど,6番勝ったことないんで。6番勝って今の番付に戻ってきたいっす。

来場所は力山が序二段の土俵を沸かせます!華麗なる変化で・・・

(写真:おきのどくさま,としか言いようがない力山。番付的に昇進が十分狙えた今場所,体調も良く一宮入り,そんな今場所に限ってコレ。そんな力山の今場所は,気持ちをその先へと切り替える自分との勝負の15日間。精一杯戦ったことでしょう。土俵で勝負するみんなと同じ部屋にいるのはなかなかコタエルもので。)

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荒獅子(序二段東21:3勝4敗)

写真:荒獅子いやぁ~,今場所はハリキリすぎてちょっと疲れちゃいました。ひさしぶりにちゃんこ長に戻ったら,なんか,スイッチ入っちゃったんすよね。新しいメニューにも挑戦して,おかげでいろんな料理が作れるようになりました。(携帯の写真を見ながら)ええ~,これはクラムチャウダー,これはエビチリ,これはバジルソースのパスタ。どうっすか?美味そうっすか?まぁ~,ただ,使い慣れてないキッチンでの料理ってのは大変っすね。東京の部屋のキッチンは慣れてるし,しかも業務用なんでアレなんすけど,この宿舎のは普通のガス台なんで,時間もかかるし揚げ物とかもなかなかカリっと揚がらないんすよ。

(福轟力)「内海さん(荒獅子)は本当に頑張ってくれてますよ。お客さんが来る日なんかは,夕方6時からの開始に4時まで昼寝してたら間に合わないんで,昼寝する時間を削って準備してました。自分らにもおいしいものを作ろうといろいろ研究してくれて。自分あんまりこんなこと言わないっすけど,感謝してますよ。」

いやぁ~,でもまぁ寝不足はよくないっすね。今朝寝坊しちゃったんすよ。ここでの朝稽古は7時半に始まるんで普段目覚ましを6時半にセットしてあるんすけど。今日はアラームに全然気付いてなくって廣瀬が起こしに来てくれた時,時計みたら7時半。あちゃ~。完璧遅刻っす。急いで廻し着けて親方に挨拶に行ったら,親方に「おい,光!」って呼ばれたんすよ。うわ~怒られる~と思ったら,「おい,野菜ジュースくれ」でした(笑)。

カシラ(若者頭福ノ里さん)に教えてもらったにんにく味噌は結構評判イイっすね。このにんにく味噌はもちろんご飯にまぜてもおいしいですし,きゅうりに付けてもいいし,焼きおにぎりにすると味噌が香ばしくなって,これまたおいしいんすよ。ちなみにカシラには自分から「にんにく味噌の作り方を覚えたいので教えて下さい」ってお願いしたら,カシラがわざわざここ一宮の宿舎まで来てくれました。

(筆者)「ちゃんこ長!今度ぜひ僕にもにんにく味噌の作り方教えて下さい。」

ダメだ。まだ,早い!ヒーッヒッヒッヒー(高笑い)!!!

(写真:ちゃんこ長としての満足感で,土俵の悔しさを紛らせようとする,が紛らせきれない荒獅子。欲しいのはもうあと1つの白星。)

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廣瀬(序二段西29:2勝5敗)

写真:廣瀬そうなんすよねぇ,まだ鼻声です。2階はエアコンないんで窓開けっ放しで寝てたら本場所中は結構気温が下がって,なんか寒いなぁと思ったら風邪ひいてました。場所前なんかは逆にめちゃめちゃ暑くて昼寝も出来なかったんすけど。あと場所前に切り傷からバイキンが入ってヘルペスになっちゃって稽古3日休んだりしたんで,今後の課題は体調管理だと思ってましたね。

まぁ,そんなこんなで5連敗スタートになったときはさすがに焦りましたよ。「自分も‘全敗’っていう不名誉な記録に名を残すのかな・・・」と。5連敗中には惜しい相撲もあったんすけど,結局は土俵際の詰めの甘さなんだということ,分かっています。ちゃんとすり足で土俵際まで足が出るように意識しながら,これから稽古していきます。

場所後の休みは久しぶりに地元の徳島に帰ります。楽しみです。一から出直し,とまではいかないまでも,気持ちをリフレッシュさせて,またやっていきます。

(写真:5連敗こそあったものの,最高位で一定の内容の相撲をとれ,自信と課題がはっきり感じられた今場所の廣瀬。成果ある場所。)

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寛龍(序二段東38:2勝5敗)

写真:寛龍家賃が高すぎました。相手はみんなデカかったですねー。仕切りながら,「うわっ,体デカ!」と思って思いっきり当たっていったらヒラリとかわされるし。体もスピードもありましたね。来場所,また出直しです。

一宮での暮らしは・・・蚊が多かったですね。宿舎の西浅井公民館横には池(温故井池)がありますからボウフラの繁殖にはもってこいなんでしょうねぇ。稽古中や犬の散歩中もよく刺されました。まー,ボウフラは水中の微生物を食べて水質を保ってくれるし,メダカやフナなど魚類の餌にもなるし。それに,この世に蚊がいるおかげで蚊取り線香とか売れるわけですから,自分のような人間の血も一宮の環境のため,はたまた日本経済のためにちょっとは役立ったのかもしれませんね。でもやっぱり痒いのは嫌いです。

(写真:あいかわらず,不思議トークをかましてくれる寛龍。その強靭で強力な身体からすれば決して家賃は高くない。寛龍にとっては日々の稽古場こそが勝負。)

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荒行志(序二段西58:5勝2敗)

写真:荒行志楽しかったです。稽古場では今でもまだぶつかり稽古しかさせてもらえませんから,本場所で相撲がとれるのは嬉しいです。まだまだ自己流の素人相撲ですけど,ある意味今の状態でどこまでイケルか,という楽しみもあります。

今場所は勝ち越しもできないと思っていたんで,この位置で5番なんて自分でも驚いています。最初の相撲は相手を止めて,逃げて逃げて足を取ったら勝ちました。二番目の相撲は相手に3発でふっとばされました。三番目の相撲は相手に一気に土俵際まで寄られて,こっちが振り回したら相手が自滅してくれました。四番目の相撲は最初っからまともに組んでしまって,ヤバイと思ってがむしゃらにすくい投げにいったら決まってくれました。五番目の相撲は相手の方が実力全然上なので,負けてもいいから思いっきりいこうと思いました。やっぱり歯が立ちませんでした。六番目はちょこまか動きまくって突き落とし。最後の相撲は猫だましから足取りで勝ちました。

でもいつまでもこんなめちゃくちゃな相撲ばっかり取っていたらダメなんで,今はとにかく前に出る力をつけたいです。自分は去年の9月場所初土俵なんで,来場所で入門して1年経ちますから,そろそろ稽古場でも相撲取らせてもらえるようになりたいです。

(荒篤山)「宇(荒行志)!オレは入門して2ヶ月で相撲取らせてもらったぞ!あっはっはーーー!!!」

(写真:恐ろしいまでの勝負への執念。自分で「めちゃくちゃな相撲」と言い切るように,勝つためなら何でもやる覚悟の荒行志。これで稽古が実って地力がつけば,と考えるだけで楽しみな荒行志。)

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大小林(序二段東87:5勝2敗)

写真:大小林はい。本場所になると緊張してしまうんで,今場所はとにかく緊張しないことだけを考えて臨みました。そしたら初日は相撲人生で一番緊張しました。はい。もうガッチガチで訳分からなくなって,全然力が出ないまま寄り切られてました。二番目の相撲も頭ぐちゃぐちゃで体ばらばらで,気がついたら,あ~~れ~~と投げられてました。

はい。三番目からはなぜかラッキーにも気持ちがラクになれて,それから体が動いてくれました。でも,まさか5連勝できるとは思いませんでした。しかも相撲は全然誉められた相撲じゃなくって,ヤケクソになって胸から当たっていったんです。そしたら,これまで4連勝もしたことないのに,5連勝なんて。自分自身が一番驚いています。

(突光力)「小林!お前なんで立ち合い胸出していくようになったら勝てたの?オレはお前が胸出して出てくるとめちゃくちゃ取りやすいんだけどな。まぁ勝てるんだったら,それでいっちゃったらいいんじゃない?」

はい。

(福轟力)「小林!お前胸出す相撲なんて取ってたらこの先勝てないよ。アゴ上げるクセを直して,得意の左上手,右差しで頭をつける相撲を伸ばした方がいいよ。」

はい。

(力山)「小林!怒れ!」

はい。

(荒篤山)「小林!お前今日の相撲はサイコーだったよな!バーーっとあたって,グーーっと二本差して,そこからさらに奥までグ・グーーって差してダダーーって走ったからな!な!!!そう。奥までグ・グーーだよ!!!」

はい。グ・グー。

(筆者)「それでは大小林さん。最後に全国の大小林ファンに一言。」

はい。誰か私のファンになって下さい。

(写真:おなじみオトボケ荒汐部屋劇場でした。まるで関取が若い衆に稽古をつけてやるかのように,相手に力を出し切らせては受け止めるふてぶてしい取り口で5連勝。ふてぶてしいくらいがちょうどイイのか大小林の本場所。)

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式守一輝(三段目格行司)

写真:式守一輝えぇ~,マジっすか?オレにもインタビューするんすか?何もないっすよ。最近,自分がしゃべるとロクなことがないんで口にバッテン貼ったほうが良いと思うんすよ。そう,ミッフィーちゃんの口みたいに。

今場所っすか?えぇ~,何もないっすよ。相変わらず雑用ばっかっす。雑用バタバタ。メシ喰う時間もなくって,コンビニで買っておいたおにぎりを愛知県体育館の脇で食べてたら,警備の人に「ここは飲食禁止だよ!」って注意されるし。うだつが上がらない男って自分みたいなヤツのことを言うんすかねぇ。唯一上がっていることといえば体重ぐらいっす。力士ならまだしも,行司が太ったところで何のプラスにもならないじゃないっすか!!!「メタボ行司」へまっしぐらっすよ。

いや~,やっぱり千秋楽はいいっすね。これから友人とパーっと飲みに行きます。えぇ~,本当っすか?オレ帽子似合ってるっすか?ドロボーぽくないっすか?

(写真:この安堵感,この解放感,体中からあふれてる式守一輝。土俵に立つのは一瞬ですが,裏方仕事に1ヶ月間奔走。おつかれさん。)

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おまけ

写真:おまけ「毎朝みんながあんなに稽古しているんだ。私も負けずに身体を鍛えるぞ。」と,かつて幾度となく富士山頂まで踏破した相棒の帽子で熱射病対策も万全に,ド派手なシューズとストックも引っ張り出しきて,並々ならぬ意気込みで,いざウォーキングに出発。
と思いきや「ダメだ。この暑さじゃ歩けない。」「俺には向いてない。」「いやぁ足水は気持ちがいいなぁ。」「東京に戻ってから身体を絞ろう。」「そうだ,それがいい。」と,あっという間に方針転換。

やはり師匠はドーンと腰をすえて,ひたすらに弟子を見守るほうが良いようです。

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