主に蒼国来の様子をご覧にいらした皆様が,いやぁいいひとときだったねぇ,と,しばしウットリしながら三役勢の稽古を見ようと思った頃,登場した本日の主役,横綱白鵬関。蒼国来も他の関取と同じく,挨拶をしにいきましたが,その途端,ものすごい勢いで四股を踏み出しました。これはもしや!と思っていたら,案の定!。かねてから報道でも横綱自ら「自分が胸を出して力を確かめたい」との思いであるといわれていましたが,その機会がこの日でした。
まったくかなわないのはわかっています。でも全力を横綱が受け止めてくれる,こんな嬉しいことはありません。いや,正直を言うと,まさか今の自分が横綱と相撲をとるとは想像していなかったのです。
せいぜい胸を出してもらえるかも,くらいに思っていたのですが,まさかがっつり仕切って三番だ,とは。
もう,とにかく思いっきりぶつかりました。しかし,横綱の強さは底知れないもので,まるで本当に赤子をあやすかのように受け止めてしまいます。見守る横綱日馬富士関も見かねて「まわしをとってもいいから,自分の全部を出せ」と声をかけてくれます(普通,平幕力士は,横綱のまわしに手をかけることは,恐れ多くてしないものなのです)。
しかし,何をどうしようと,横綱の前にはほとんど意味がありませんでした。
しかし,もうすでに体力の限界。押したくても押せません。しかも横綱の異様なまでに重い下半身と,どんな力も吸収してしまう柔らかな上半身,どんどん押すものの体力を奪っていきます。もう普通のぶつかり稽古とは異次元のハードさです。
「もう,限界です。」立ち上がるのもやっとです。こんなすぐにヘロヘロになる関取も,それを嬉しいことと感激している力士本人も,それをこんなに応援してもらうのも,全部が全部,かつてないことなのではないでしょうか,
というわけで,15分くらいでしたでしょうか,蒼国来の久しぶりの国技館土俵での相撲が終わりました。
次は,本場所の土俵で横綱に挑戦できる日を目指して,日々稽古。