荒汐部屋 目次

[目次を飛ばして記事へ]

平成28年九月場所を振り返って

アスリートにとって何が怖いかって怪我が怖い。怖い怖い怖い場所になってしまった九月場所。それでも皆,輝く未来を見据えたコメントで締めくくることができました。恒例,早川様による千秋楽打ち上げからのレポートでお届けします。(大波は別記事の手術レポートでご報告)

師匠:荒汐(37勝39敗16休,勝ち越し5名)

Photo このように大勢の皆様に足を運んで頂きまして,本当にありがとうございます。

え~,千秋楽パーティーの席ではあるんですけど,まずはあまり目出度くない話から。蒼国来も負け越しましたし,部屋としてはあまり良い場所ではなかったと思います。場所中には大波と常川が休場しました。大波の方は肩の脱臼です。このまま放っておくと脱臼は癖になる,ということで今月の28日に手術をします。入院は4,5日だと聞いております。それから4ヶ月間のリハビリをして来年の初場所には出れればいいか,とそういう感じで今取り組んでおります。先日亡くなられました九重親方,元横綱の千代の富士さんも現役時代に脱臼癖がありましたが,当時の技術では脱臼を手術で治すことは難しく,時々脱臼が再発していました。しかしながら,聞くところによりますと今の医学では内視鏡で損傷した靭帯を縫ってしまうので,ここでしっかり治しておけば,今後再発することはないだろう,と。4ヶ月間のリハビリに精進したらまた元に戻ります,という先生のお話でした。ですから,どうか心配しないで,また応援して頂きますようよろしくお願いします。

常川ですけれども,肘を剥離骨折と外側靭帯を損傷したということで,昨日まで先生方がいろいろと検討して下さいまして,結果手術はしないことになりました。このまま3ヵ月間リハビリをしまして,復帰を目指すということとなりました。本当に途中休場が二人も出まして,これもすべて私の指導の至らないところで本当に申し訳ございません。

次に剛士。幕下16枚目で4勝3敗。あと一番。5番は勝てたと思います。しかしそれでも少しずつ相撲に欲が出てきたところも見えます。今場所の相撲内容を見ているとそういうところも感じました。しかし,まだまだ稽古場では全く感じられません。まぁ~稽古の方はまだまだなんですけど,本当に今場所は剛士はよく頑張ったと思います。あ,あんまり誉めたらイカンな(笑)。

それから今場所勝ち越したのは力山が5勝2敗…あ~順番を間違えました。荒篤山が6勝1敗(拍手)。それから赤井(福轟力)が今日負けて4勝3敗(拍手)。そして廣瀬が今日負けて4勝3敗(拍手)。それからあとは誰だ?(力山:『自分っす』)だからさっき言ったじゃん(笑)。

本当に何度も言いますが,皆さんから期待して頂いた大波がこんなことになってしまって申し訳ありません。あやまってばかりですが,こんなところで,私の挨拶とさせて頂きます。

このページの先頭へ

綿谷(序二段東63:2勝5敗)

Photo まだまだ全然通用しません。攻められても残る腰がないし,攻めていっても足が揃って叩かれたりします。ただ,今年の五月場所に最高位の61枚目で1勝6敗で,今場所同じくらいの番付で2勝でしたから,大負けには変わりありませんけど,1勝多く勝てたというのはちょっとでも成長しているということだと,前向きに考えているようにしています。

入門(昨年5月初土俵)してから,丸一年本場所を経験しました。これまで稽古場では皆とは別で,ずっと四股・腰割り,それから押し相撲の稽古だけでした。兄弟子から「そろそろ三番稽古に入れるんじゃないか?《入りたいアピール》しろ」と言われてました。そしたら名古屋から東京に戻ってきて初日の稽古で,親方の方から「綿谷,入れ」と言ってもらって,三番稽古にも入れるようになりました。自分もようやく出来るようになったって,すごく嬉しかったです。

今場所は関取の付け人をしていたので,本当に15日間が長く感じられて疲れました。支度部屋では周りにいる人達がテレビで観てた人達ばかりですから,緊張します。毎日帰ってくると,どっと疲れが出て,同時にすごくホッとしていました。

大波: 「こいつ,俺に八つ当たりしてくるんです。俺をサンドバッグ扱い。」

綿谷: 「してません。」

大波: 「さっきも俺の肩(脱臼中)にドーンとぶつかってきて,今も手のしびれが止まりません。」

綿谷: 「アクシデントです。」

大波: 「こいつ,部屋に帰ってくると異常にテンション高いんすよ。」

早川: 「因みにテンション高い綿谷ってどんな感じ?」

大波: 「大波さ~ん!イッヒ・ヒ・ヒ・ヒー!!!」

このページの先頭へ

常川(序二段東28:1勝1敗5休)

Photo 常川(富山県南砺市出身): いたいちゃ,いたいちゃ。いろんな意味でいたいやちゃ。

飛騨野(富山県富山市出身): さぞ,はがやしかろう。今晩はだいてやるちゃ。

常川: それはきのどくな。

このページの先頭へ

突光力(序二段西27:全休)

Photo …今日終電の時間大丈夫っすか? 一晩中でも語りたいことがあるんすけど。え?1分間でまとめろ?短っケェ!!!

まずもって,私は元気です。元気すぎて困ってます。名古屋場所後に右足首を剥離骨折してしまいまして休場することになったんですが,もう足首は完全に治ってます。ほら,この通り四股も踏めます。え?回復早いね?そりゃあ若さですよ。若さ。

一言で言うと今場所はホントに苦しい休場でした。何が苦しいって,場所に出たい!ってアドレナリンを抑えておくのが。以前の休場は,肘が折れた,膝の靭帯が切れた,そんな大怪我での休場だったんで諦めもつくじゃないですか。でも今回は場所の半ばくらいから夕方一人で稽古場で四股踏んでたりしたんすよ。もう体は動ける。この状態なら途中からでも出れるんじゃないか・・・。いや,でも場所前全然稽古してないのに出るのは何か違うんじゃないか・・・・。いや,もしかして俺は逃げてるだけなんじゃないか・・・。こんな葛藤が頭の中ぐるぐる回って,ホントしんどかったっす。

そんなもどかしい自分に腹が立って。おかげで闘志に火がついたっすね。ヤバいっす。今更とか思われるかもしれませんけど,自分の相撲をこうしてみたいって思うこともあります。早く稽古が始まって欲しい。今アドレナリンがヤバい。もし明日から本場所があったら,自分6連勝くらいするんじゃないっすか。

このページの先頭へ

寛龍(序二段東15:3勝4敗)

Photo 初日勝って,二日目も勝てるかなぁと思ったんですけど,足がすべっちゃって・・・。それから3連敗。その後一つ勝って,次に負けて負け越して,今日(千秋楽)勝ち。二日目にすべっちゃったのが,今場所を象徴してましたね。立て直せないままズルズルと・・・。

稽古場ではとにかく早く自分の型になることが課題ですね。自分はまわし取れないと何も出来ないので,なるべく早くまわしを取るように意識してやっています。できれば右差し,左上手の右四つの形になれるようにやっています。

それにしても最近は雨が多いですねぇ。傘差しながら三吉と浜町公園歩いていると,あちこちでスマホピュンピュンやってる人にぶつかりそうなんで気をつけてます。どうやらあの公園にはポケモンが大量に巣を作っているみたいですよ。

このページの先頭へ

力山(序二段西11:5勝2敗)

Photo 5勝2敗・・・ですけど,全然誉められたもんじゃないっすね。立ち合いから全部変化ですもん。

最初の相撲で変わっていったら,相手についてこられて最後は自分からコケちゃった。ダサ過ぎ。足がついてこない。お客さんから「稽古してねぇーだろ!」って。あ,バレちゃった。

もうこうなったら,懲りずに変化し続けてやろうか,と。中盤は変化・変化で連勝。お客さんからブーイング。ひどい事言われますよ。全部耳に入ってきてます。ハイハーイ!って感じ。ブーイングにも慣れましたね。

最後の相撲は仕切ってる時に,お客さんが「あいつ変わるよ」って言ってるのが聞こえてきたんで,思いっきり頭からブチかましていきました。

・・・っていうか,力山の相撲知っているお客さんなんて,熱心なお客さんですよね。マニアック。有難いお客さんっすよ。でも実際いるんすよ,「応援してるよ」って言ってくれるお客さんが。ほんとに,たまーに,ですけど。少数派。国技館には朝からずーっと観てるお客さんとかいて,熱心だなぁ,ってこっちが感心します。こういうコアなファンに相撲は支えられてるんじゃないかって思いますね。ほんと有難い。

その2へ >

このページの先頭へ