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平成30年 五月場所を振り返って

photo:蒼国来の怪我はあったものの,新十両・若隆景の逆転勝ち越し,丹治の勝ち越しデビューにくわえ,全体で6割近い勝率と,早くも次場所が楽しみな結果で締めくくったこの五月場所。ベノア銀座店でカジュアルに開催された千秋楽打ち上げパーティーより,恒例の全力士インタビュー「今場所を振り返って」をお届けいたします(ご担当:早川さま)。

荒汐親方:55勝39敗(勝率5割9分)勝ち越し9名

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皆さん,こんばんは!

今場所は,あの~めったにないくらい部屋全体が好成績で,何も言うことはないんですけれども(拍手)。

え~蒼国来は,途中休場で3勝6敗6休。あと,幕下以下で二人負け越した以外は全員勝ち越しました(拍手)。

若隆景が前半戦緊張してまして,五日目まで2勝3敗。出来れば前半戦を3勝2敗くらいで行ってくれればな,と思っておったんですけども,初日の土俵入りを見ておりましたら,ガチガチでもぉ~これは難しいな,と。そして途中から少し体が動くようになって,4勝5敗とか勝ち星が一つ少ない形でずっときまして,後半戦を迎えてようやく勝ち星が先行したと思ったら,昨日7勝7敗になって。私としては,締め込みやら袴やら,もぉ~一切合切皆さんに若隆景はお世話になっているのに,一場所でお蔵入りでは皆さんの前で合わせる顔がないだろう,と。ホントにそう思いました。今日勝ってくれて,本当にもぉ~,何と言ったらいいか,嬉しいのは当たり前ですけど,ちょっと心臓が悪くなるような気がしました(笑)。

今日は一門の鶴竜が優勝しましたので,若隆景は関取として紋付き袴姿で記念写真を撮ったりいろいろあります。のちほど遅れて参りましたら,紋付き袴姿の若隆景と写真を撮ったりして頂ければと思います。

本日はお越し頂き,ありがとうございました。

蒼国来(十両 東筆頭)3勝6敗6休

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三月場所に続き,今場所も怪我してしまいました。三月に折れた骨がなんとかくっついて土俵に上がれるようになったのが初日の前日だから,ぶっつけ本番の今場所だったよ。さすがに初日は体がふわふわして自分の体じゃないみたいだけど,前半戦終わったところで3勝2敗になって,周りからは「無理しないでここらで休んだら」って声もあったけど,自分の中では「勝ち越して幕内に戻りたい!」って気持ちが強くって。

今,うちの部屋の若手が一生懸命頑張って良い成績でやってくれてるんでね。若い力士に元気をもらってね,自分も来場所までに出来るだけ早く足を治して,もう一回幕内に上がれるように,一生懸命頑張ります。

私は7年前にいろいろあって,そのうち2年間は休んで・・・でもその間も心は折れませんでした。骨が二本折れたくらいで心は折れていませんので,これからも応援よろしくお願いします。

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若隆景(十両西14枚目)8勝7敗勝ち越し

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お陰様で,新十両の場所で勝ち越すことが出来ました。皆様,応援ありがとうございます。

今場所は非常に勉強になった場所でした。自分の力がどれだけ通用するのか,何が足りないのか。幕下とは雰囲気も全然違って,最初は緊張もありましたが,後半は気持ち的にラクになってきて,少しは自分の相撲が取れたかな,と思います。

来場所以降も勝ち越せるよう,稽古に精進して参りますので,今後とも応援よろしくお願いします。

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若元春(幕下東10)5勝2敗勝ち越し

思い通りの相撲が取れなかった場所でした。それでも5勝した要因?何なんでしょうか。「弟(若隆景)に先を越されて悔しいでしょ?」ってよく言われるんすけど,悔しいっていうか・・・。「いいなぁ,自分も早く自分も上がりたいなぁ」そんな思いの方が強いですね。

だから今場所は全勝して一気に上がりたいところでしたが・・・そう甘くはないですね。来場所は幕下一桁に上がるんで,そろそろ突き破っていきたいところです。どうしても体重が足りないんで,食べることもちゃんとしないといけないし,技術的には親方に言われているように,もっと右からの攻めを覚えないといけないと思っています。

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え?無人島に一つ何を持っていきたいかって?自分は「阿○関を持っていきたい!」と言っておきます。ウフフ・・・。

若隆元(幕下西13)4勝3敗勝ち越し

早いもんで,幕下上位で相撲取るのは約2年振りでしたからね・・・。その間に,肩の脱臼,足首の靭帯断裂もありました。まぁ,今場所2勝3敗になって,その時点では勝ち越しは厳しいかな,とも思ったんすけど,結局2連勝で勝ち越せたのは自信になりました。左の廻しを取って一気に前に出る,そういういい内容の相撲も何番かありました。

2年前と今の違いですか?う~ん,どうだろう。目指す相撲は変わっていないですけど,気持ちの面ですかね。前だったら追い詰められたらプレッシャーでガチガチになって相撲取れなかったところが,今場所は「一番一番に集中するぞ!」って気持ちで,星勘定を気にせず目の前の相撲に集中出来て,後半盛り返せたのかな,と思います。

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え?無人島に一つ何を持っていきますかって?自分は「廻し」です。無人島でもガンガントレーニングします。海で泳いで鍛えてガンガン筋トレして,いつ相撲に復帰しても良い状態を保っておきます。

早川:「どうですか皆さん,この100点満点の回答!!」

周囲:「さすが,幕下上位の人は言うことが違います!誰が読んでいても怒られる事がない回答!下心・・・いや,読みの深さが違います!」

荒篤山(幕下東45)6勝1敗勝ち越し

そうですね,6番勝てたのは嬉しいんですけど,自分としては4番目に負けて悔しいって思いが強く残っています。場所前から調子良くって,蒼国来関からも「今場所いけるよ!」って言ってもらってたんすよ。だから負けてしまった相撲は,なんでもっと気楽にいかなかったんだろう?なんで考え過ぎたんだろう?って。

一緒に稽古してきた若隆景関の十両昇進は,もちろん刺激になっています。自分も頑張らなければいけない!と一層強く思いました。来場所は20枚目くらいにいけると思いますけど,まずは15枚目以内にいかないと,と思ってるんで。まずは来場所勝ち越して,幕下上位での戦いでも勝っていけるように,いい稽古したいと思います。

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無人島には銛(モリ)を持って行きます。理想を言えばブーちゃん(廣瀬)も連れて行きたいっす。自分が銛で魚とか捕ってきて,「あとはブーちゃんお願いね!」って渡したら,何か美味しい物作ってくれそうじゃないですか!

福轟力(幕下西48)3勝4敗

え?今場所を一言で表現するとですか?ん~,一言で表現するのは難しい場所でしたね。数字上は負け越しはしましたけど,内容的には悪くなかったと思えるところもあったし,新たな試みもあったし。

自分,3勝した後の相撲,つまり勝ち越しがかかった相撲で全然勝ててないことに気づいたんですよ。計算したら,たぶん勝率1割くらいです。去年から今場所までだと,優勝した場所(平成29年七月場所三段目全勝優勝)以外は全部負けているんです。何が原因だろう・・・?それはやっぱり「心」しかないだろうって思って,今場所からメンタルトレーニングを取り入れてみました。

でもメンタルトレーニングって,例えば筋トレとかと違って,効果が目に見えないじゃないですか。掴みどころが無い感じだから,これまで向き合ってこなかった部分なんすよね。でもここ最近は自分でその関連の本を読んだり,インターネットで調べたりして,良さそうだなと思ったことを本場所の相撲で取り入れてみようと思って。

その効果かどうか,その判断は難しいところですけど,今場所は緊張して叩きに行って自滅,っていうことがなかったし,負けた相撲も自分なりに切り換えが出来て臨めた気がします。数字に表れない手応えみたいのはあったかなと思います。

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え?無人島に一つ何を持っていくかって?「船」です。そして,速攻脱出します。

寛龍(三段目西29)3勝4敗

早川:「寛龍さん,今場所はどんな場所でしたか?」

(なぜか内海マネージャー登場):「え~まぁ~,そぉ~ですね。今場所は最高位で3勝。良い経験になりました。え~,まぁ~,今場所一番良かった相撲は最後の越ノ龍戦ですね(周囲:『内海さん,最後じゃないっすよ,6番相撲!』)え~,まぁ~,あの6番目の相撲はっすねぇ,押し相撲の相手だったんすけど,向こうが押して押してくるところを当てがって当てがって押し返して最後は寄り切り。よく我慢して我慢して,自分の相撲が取れたかな,って感じですねぇ。うんうん。」

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早川:「ところで,無人島に一つだけ何かを持っていくとしたら,寛龍さんは何を持っていきますか?」

内海:(隣でこのやりとりを聞いていた)「飛騨野です!」

早川:「寛龍さん,内海さんによる寛龍さんの総括はこんな感じでよろしいでしょうか?」

寛龍:「はい。唯一訂正したいのは,無人島に飛騨野は持って行かないということです。」

常川(三段目東86)4勝3敗勝ち越し

全く自分らしくない場所でした。

初日と二番目の相撲では,自分の信条である「ひたすら前に」出て行ってら,投げられたり引きかれたりで負けてしまい,それから前に出るのが不安になりました。そのせいで,その後の相撲は引きに行ったり,投げに行ったり。全く自分らしくない相撲。でも結果は三連勝。本当に相撲は分かりません。内容的にはよくないと思っているのに,結果は勝っていたので,「どうしたらいいんだろう?」って思ってました。勝って気持ちが乗ってきたのはいいんですけど,それで前に出る相撲が取れたわけじゃなくて,投げにこだわってる自分がいて,「もう今場所はこれでいくしかないか・・・」という感じでした。

来場所は寛龍さん,廣瀬さん,飛騨野さんと自分の番付が近いところに行くと思うんで,元気な幕下勢に続いて,荒汐部屋の三段目勢も盛り上げられるように頑張りたいです。

無人島には「サバイバル教本」を持っていきます。

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飛騨野(三段目西99)5勝2敗勝ち越し

いやぁ~,三段目でストレート給金直しは初めてでしたから,自分でもびっくりです。好調の要因?う~ん,そうですねぇ,自分考えてみたら,立ち合いから前に前に出ていくのはいいんですけど,土俵際で引かれてバッタリ,ってことがよくあるって気づいたんですよね。だから,今場所は土俵際でガマンしてみよう!と。これまでは土俵際で「ここで一押ししたら勝てる!」って瞬間に勝ち急ぐっていうか,バタバタしちゃって逆転負けってことが多かったので,今場所は「攻めるところは攻めて,理詰めになるところは理詰めに」と意識したところが,ちょっと変わったところかな,と思います。

え?今場所の取り口を歴史上の誰かに例えてみろって?ま,また無茶なことを・・・。まぁ,そうですねぇ・・・。「目指せ,大久保利通!」です。大久保利通って,ブレないじゃないですか。志を持って,目的遂行の為には冷徹にもなれる。前面に出るところは出て,時に脇役や悪者になることも厭わない。ただ大久保は新しい国家建設を目指した人だから,自分と比較するのは偉大過ぎる・・・だから,あくまで「目指せ,大久保利通!」です。

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無人島には「塩分ろ過装置」を持っていきます。

廣瀬(序二段西24)6勝1敗勝ち越し

まぁ,今場所は番付下がってますからね。5勝はしたいな,と思っていました。ま,でもとりあえず入門以来初の6勝なんで,嬉しいですね。

とにかく廻しを取らないで,当たっては引いて,当たっては引いて。特に相撲の技術的な事は変わったことはないんですけど,今場所一つ試してみたことがあります。取組前の土俵下ってどうしても緊張するじゃないですか。それをほぐす為に,まず5秒間体に力を入れて硬くする。そしてほぐす。それを5回繰り返す。呼吸法って言うんすかね。これどっかで仕入れた情報で,取り入れてみようと。そしたらイイ感じで体がほぐれて臨めたと思います。

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え?無人島に一つだけ何を持っていくかって?オレはオレの身一つを持っていくゼ

綿谷(序ノ口東2)4勝3敗勝ち越し

今場所,負けた相撲は全部廻しを取りにいってしまって,逆に勝てた相撲は廻しにこだわらない相撲で勝てているので,これからも廻しを取らないで,相手の横にくっついての相撲が取れるように意識して稽古していきたいと思います。

え?新弟子・丹治と相当仲が良さそう?えっと,年が近いの話しやすいです。

丹治:「綿谷さんは,とても優しい兄弟子です!」

丹治は体もメキメキ大きくなって強くなっているので,お互い切磋琢磨して,自分も負けないよう頑張りたいです。

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無人島には「ガム」を持っていきます。

丹治(序ノ口西29)4勝3敗勝ち越し

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(本場所デビューの場所)最初の方は緊張したんすけど,一勝した時は「こんなに嬉しいもんだんだ!」って思いました。その一番から土俵で緊張しなくなって,後半になってきたら,「絶対勝ってやるぞ!」って気持ちで土俵に上がるようになりました。

はい,体も順調に大きくなっています。春の新弟子検査の時は体重69kgだったんですけど,今は81kgあります。背もまだ伸びています。

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無人島には綿谷さんを連れていきたいです。だって,毎日楽しそうじゃないですか。

(来場所につづく)

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