最高位は未知の世界,かと思いきや意外と「押せてる」手応えはありました。以前名古屋で5連敗したことがあったんで,2連敗スタートした時はヤバいと思ったんすけど,その次に勝てて気持ち的にはラクに取れました。
結果的に2勝しか出来ませんでしたけど,不思議と成績以上に自信になった場所になりました。そう思えるのは,自分にはこの相撲しかない,ってことがはっきりしてきたからだと思います。序二段の頃はなんとなく手探りの稽古でしたけど,今は「ここをこうしたらこうなれる」って方向性がはっきりしてきたのは,同じ稽古してても全然違うと思います。とりあえず来場所も三段目には残れると思うので,三段目に定着することが今の目標です。
あ,ありがとうございます。おかげさんで,勝ち越せました。やっと終わった・・・っていうのが実感ですね。疲れました。
最高位での勝ち越しにしては,意外にテンション低め? そうっすね,先場所終わってから,自分の中では今場所勝ち越すイメージしか持ってなかったんで。それが達成できたんだなって感じで,まだ実感が沸かない感じですね。今場所,周りでは自分が勝ち越せるとは思ってなかった人が多かったみたいですけど,そんな意見も逆に力にしました。
今場所は,取組終わっても興奮冷めやらぬ相撲が多かったっすね。「流血相撲」もありました。10日目の相撲,流れで張り手が相手に思いっきり当たったら,相手もスイッチが入ったように張り手をしてきて,そこから張り手の応酬。しまいには血が流れ始めてストリートファイト状態。勝てたことがせめてもの救い。部屋に戻ったら廣瀬が「吉田さん,若い!」って。あたり前だろ。
愛知県体育館は風呂場が一箇所なので,取組後に対戦した相手と顔合わせるんですよ。この空気が微妙。流血戦した相手と会話なんかできないっすよ。今場所最後の相撲は共に3勝3敗のモンゴル人力士。お互い勝ち越しかかってたんで,カッカしてるじゃないですか。取組後,風呂場に行ったら何やらモンゴル語で怒りまくってて,これまた微妙な風呂場。間の悪いことに目が合ってしまって,これまた微妙。
ともかく,これで5場所連続勝ち越しです。本当に,去年の今頃はこの地位で勝ち越してる自分は想像も出来ませんでした。何が変わったって,気持ちしかないですね。勝ち越した後に久しぶりに記者さんにインタビューされました。質問は「突光力さん唯一の同期生が今場所で引退しますが,どう思いますか?」だって。
はい,エレベーターっすからね。次でたぶん7回目(の三段目昇進)だと思います。荒汐部屋では当分破られることのない記録でしょう。全然自慢出来る記録じゃないんすけどね,ははは。
また痩せた?はい,今79キロっす。MAXだった二年前の名古屋が102キロ。2年で23キロ減。ヤバいっすよ。スポーツジムの広告とかでよくダイエットに成功した人のBefore/Afterみたいのあるじゃないですか。他の部屋の力士から「お前はあのモデルになれる」って言われました。っていうか,それ力士が出る広告じゃないでしょ!
まぁ,今場所最大の敵は蚊でしたね。見て下さいよ,この両足。蚊に刺されたところからばい菌が入ったらしくて,この通りブツブツ真っ赤に腫れきて,蜂窩織炎だって言われました。これがイラつく程に痒くて,痒くて,痒くて,痒くて。
親方には,気持ち悪いからもう俺には見せてくれるな,今場所は治療に専念しろって言われて初めて付け人を「途中休場」することになりました。なんかすごく新鮮な感じでしたね,関取(蒼国来関)をテレビで観るのって。普段自分は花道から関取を見てるんで,あぁテレビではこういう風に見えてるんだぁ〜,そういえばこの人は有名人なんだなぁ〜!!!って思いましたね。
あー痒い!!!明日,自分だけ皆よりも一足先に東京に戻ってかかりつけの先生の所に直行します。あぁ,早くF先生に会いたい!
試練の場所。苦悩の場所。自分の相撲だけでも悩み多いというのに,場所の途中から関取の付け人を仰せつかって冷や汗,脂汗の連日。
相撲の方は3勝2敗から2連敗で負け越し・・・。ライバル常川は5勝・・・。最後の相撲で負けた相手は角界最年長力士・・・。本件,部屋の力士達から傷口に塩を塗られまくったこと,ご想像の通りです。
名古屋といえば,あの徳川家康も三方ヶ原の戦いで惨敗して多くを学んでいます。しかめ像を描かせた家康のように,自分も今場所の反省を戒めとして深く深く心に刻んで,次の戦いに臨んでいきたいと思います。
ありがとうございます,5勝することができました。はい,自信になったと思います。
先場所,前に出ていって土俵際の逆転で何回も転がされましたから,場所前から自分の悪い癖を直すことを心掛けて稽古してきたのが良かったんだと思います。今場所はアゴをあげない,土俵際攻め急がない,逆に土俵際まで攻められたら踏ん張る・我慢する。土俵で出番を待っている時,ひたすらこの3つを呪文のように頭の中でグルグル巡らせていました。自分は土俵に上がってお客さんの声が聞こえると緊張してしまうタイプなので,仕切ってる時もひたすらこの3つを繰り返し自分に言い聞かせてました。
来場所はまた序二段上位にいけると思います。これで三度目の上位です。これまで序二段上位の壁に跳ね返されてますので,ここで壁を破って目標の三段目昇進を決めたいです。
今場所は前相撲よりも緊張しないで取れました。負け越してしまいましたけど,2勝できたことが嬉しいです。
(兄弟子になった常川の綿谷評)「綿谷はすごく良い相撲センスを持っていると思います。センスという意味では自分より全然あると思うので羨ましいです。たぶん柔道やってたクセだと思いますけど,さっと足技が出たりして,自分には足の使い方なんか全く分からないので,どうやってやったんだろう?って感じです。稽古も真面目ですし,うかうかしてるとすぐに追い抜かれそうなので,そうならないように自分も頑張っていきたいと思います。」