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荒汐部屋

2008-06-04更新

平成20年 五月場所

荒汐が総括

モル良いことがあれば悪いこともある。この五月場所も同様で,全体的として見れば,まぁまぁ勝ち越したかな,という成績でしたが,一人一人に眼を向ければ,まともに直視できないような有様の者から,ビックリするほどよくやった者まで,さまざまです。各人各様の五月場所を,千秋楽パーティーで荒汐が総括しましたので,こちらにも掲載させていただきます。

本記事はまたまたまたしても,早川様による完全実況(含,写真撮影)でお伝えします。本当にいつもいつもありがとうございます。(写真:受付担当のモル。以下,写真のコメントは荒汐部屋による)

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ご挨拶

荒汐皆様,本日はお忙しい中お集まり頂き誠にありがとうございます。相撲界がこのような状況であるにもかかわらず,今場所は国技館が満員になる日も多く,大相撲を応援して下さっている皆様には感謝の気持ちで一杯です。この場を借りまして,謹んで御礼申し上げます。

ただ,うちの部屋に関しましては,日頃,後援会や部屋のホームページをはじめ,かくも応援して下さっている方々に申し訳ない気持ちで一杯です。

(写真:なんとも微妙な表情の荒汐。若干太り気味。)

蒼国来 ― 幕下西14:2勝5敗

蒼国来ご覧の通り,蒼国来は,無様な成績で終わりました。

私,そして一門の親方衆皆同様に言っているのですが,この地位というのは本人の「自覚」なしには勝てる地位ではありません。本人がどれだけ「自覚」をしているのか。その「自覚」が無いと,このままズルズルと終わってしまう可能性も高い,そういう地位なんです。思えば私も,この地位ではとっても苦労しました。

ただ,蒼国来の稽古を見ていると,「ここから何が何でも勝って上がってやろう」という稽古ではありません。私は散々言ってきましたし,同門の親方衆が言ってもなかなか本人がそういう気持ちになれない。本当に残念でなりません。実際のところ,今場所直前の稽古見学会以来,ほとんど稽古らしい稽古をしていません。あそこが痛い,ここが痛い,風邪引いた,点滴打ってきた・・・。

これでは,本当に皆様に申し訳がありません。後援会も各地に作って頂いて,これほど皆様のご期待を賜っている今,これからという時に,本当に申し訳ありません。

ともかく,今場所は部屋全体から見れば,5人が勝ち越し,4人が負け越しと,勝率から見ればそれほど悪くはありませんが,部屋頭がもうちょっと頑張らないと・・・,そんな気持ちです。

(写真:眼もうつろ,視線を向けるところもない蒼国来。そんな打ち上げが続いています。)

赤井 ― 三段目西67:5勝2敗

赤井さて赤井ですが,頚椎骨折以来,1年もの長い治療生活を乗り越えて遂に完治したにもかかわらず,先の3月場所の本場所中,また同じ箇所を怪我してしまいました。あれほどの忍耐を強いられた後にこれですから,私は,ひょっとしたら辞めるんではないかなぁ,とつい思いました。しかし,本人はきっぱり「相撲を変えて,頑張る」と言ってくれました。この怪我が赤井を精神的に成長させてくれたのではないか,と思います。この気持ちを最後まで貫いて,頑張ってもらいたいと思います。

(写真:「辞めるかと思われた?何しに入門したとお思いで?」折れるのは頚椎だけ。決して折れない不屈の精神の赤井。)

五十嵐 ― 序二段東88:3勝4敗

五十嵐五十嵐の稽古は,この小さい体で,頭で行かずに,胸を出して行くものが多かった。結果,案の定,突き出されて負ける相撲を取っています。もうちょっと下から突っ込んでいく相撲を取って持ち味を生かして欲しいと思います。

(写真:俺に持ち味なんてあったっけ? ほんのちょっと斜め,が好きな五十嵐)

松峰之山 ― 序二段西90:2勝5敗

松峰之山松峰之山は,もうちょっと人の稽古を見て,自分の相撲を研究しなきゃ駄目です。もうちょっと頑張って取り組まなければ駄目。

(写真:そう言ってもらったんですが,頑張るってこと自体ピンとこないんで,一体?とでも思ってそうな表情の松峰之山)

増田 ― 序二段西95:2勝5敗

増田増田も一緒。稽古場で教えたことをやらなきゃ駄目。いくら稽古場で教えたって,それをやらなきゃ。な。だから松峰之山も,二人ともその成績なんだよ。分かった?

(写真:ひたすらお給仕で気を紛らせる増田)

大澤 ― 序二段西101:4勝3敗

大澤大澤は,本人なりに一所懸命稽古してました。まだ相撲がバラバラですけどね。4連勝で3連敗,まぁ勝負士の世界ではあまり珍しいことではないです。本人は一所懸命やってますので,それは私も認めています。性格もだんだん良くなってきました。

(写真:精神的に一皮向けたか,勝ち越しにも浮かれることのない大澤)

荒獅子 ― 序二段東104:5勝2敗

荒獅子荒獅子の今場所は,5番勝っても不思議な番付ではありません。家賃がそれほど高くないんで。また来場所は先場所のような番付に戻ると思いますけど,もう一回そこで奮起して,技術的には肘を開かないようにして,頑張って欲しいと思います。

(写真:ともかく,勝ち越すことはかくも嬉しいことだとわかる荒獅子の様子)

寛龍 ― 序ノ口東34:4勝3敗

寛龍寛龍は,実は初めて会った頃の印象と,実際に入門してからの印象が,いい方向でかなり違っていまして,相撲のセンスが大変いいものを持っています。相撲を知っている,というか,教えてないのに出来るというのは,いわゆる相撲のセンスがあるということだと思います。まったくの初めての土俵で勝ち越し。もの凄く良い成績だと思います。

(写真:相撲のセンスは抜群に良いが,浴衣の着こなしセンスがまだまだの寛龍)

力山 ― 序ノ口東39:5勝2敗

力山そして力山・・・あまり誉めたくはないのですが,今場所はしょうがないですね。体が小さいのに5番勝ちました。半分以上は気持ちで取っていると思うので,来場所が大変だと思います。

(写真:ニヤニヤ。表情を保てない力山。)

来場所に向けて

式守一輝来場所は名古屋に行ってまいります。新たにどっしりとした稽古場もできますので,一宮に行ってからも充実した稽古ができるものと期待しています。皆様,どうかまたホームページ,テレビ,携帯ほか通じまして,応援して頂ければ幸いです。どうもありがとうございました。

(写真:一仕事終えてホッと安堵の行司,式守一輝)

ということで...

(以下,荒汐部屋による)

大きな注目をいただいております蒼国来がこのようなことでしたので,なんとも申し訳ない限りの総括となってしまいました。

蒼国来もう午後は話す体力さえ残っていないほどに我武者羅に稽古したあの頃。蒼国来にはあの頃の気持ちを思い出して奮起してほしい,そう多くの方が願っていることを感じてほしいばかりです。そんな「あの頃」以来,怪我をしたり手術をしたり,と,そんな経験もあったので,どうしても慎重に構えてしまうのも無理はありません。目の前すぐに大きな目標がもう見えている,ここで怪我をしてしまっては全部が台無しだ・・・そんな恐怖(かどんな何かはわかりませんが)を振り切って,もうここで勝ち上がるしかないんだという「自覚」をもって今,奮い立て! 身体も頭脳も,目の前の目標をつかむためだけに集中できる期間は,決して長くはありえないのだから。

さあ,お次は,稽古をしすぎると本場所で体力がなくなってしまうかもしれない,その恐怖に毎年囚われる名古屋場所。怯えをかなぐり捨ててどこまで信じて取り組めるか。どうぞ蒼国来のその様をお見守りくださいませ。チンタラしていたら,下のみんなに追い抜かされる日が本当にすぐ来るよ。

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