まだ入門一年の剛士にも,当然容赦なく福轟力の突きは襲いかかる。若さならではの無限の体力で立ち向かう剛士。
相手が大きければ大きいほど,大波の筋肉が躍動する。この形になればもう誰も何もできない,そんな形を身に着けつつある大波。一瞬にしてどんな劣勢からでも逆転してしまう。
しかし,まだまだ追いつかれるわけにはいかない福轟力。粘り強い足腰の大波をも吹っ飛ばす。
もちろん剛士をも。それにしても福轟力の番数は多い。その中から,上へのもう一歩の何か,を必至で探し求める。
荒篤山も加わるが,さすがになかなか買ってもらえない。しかし,一番一番の内容の濃さは,この土俵でしか味わえない。
しかし,いくら元気な剛士でも,そのあと関取相手にぶつかると,さすがにヘットヘト。この量の稽古が毎日できるのは,この歳,この身体あってのこと。そのさらに限界を超える稽古です。
福轟力も,出稽古ならでは,重い相手に力いっぱいのぶつかりができます。
そして稽古場は関取衆の稽古へと移ります。・・・しかし,荒汐部屋勢の本当の稽古はここから始まる。疲れ切った身体で自転車を押しながら,2km先・60m上への宿舎へと登坂する稽古が。
さあ,この充実した稽古の自信をもって,後半戦に行こう。