荒汐部屋 目次

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蒼国来(十両西7枚目)

先場所は・・・,もう,ああいう,ああいう思いは,二度としたくありません。あそこまで負けたのも,あそこまでひどい思いをしたのも,入門してから初めてでした。終わったものはしょうがない,とはとても言えません。

先場所は,土俵に戻った七月より,体力的にもずっとキつかったです。名古屋では稽古をしても,また寝て翌日になれば大丈夫っていう感じがあったんですけど,身体がようやく絞れだして体重が落ちてくると,疲れがどんどんたまっていく感じになりました。寝てもマッサ―ジしてもらっても,何かスカっとしないんですよね。

でも,もうどうもこうも言ってられません。ガンガンやるしかないですよ。戻って半年も経つんですし。

それで場所後の巡業も,早めに会場に入って,しっかり四股を踏んで,それから十両の稽古が終わってからも,腰割,すり足,四股と基本をやって,あと腕立て伏せ30回を5セットはするようにしてました。ジムにも行きたいところですが,正直なところ,本当にもうその余裕がありません。稽古場で限界までやるしかありません。

おかげで少し身体に張りが戻ってきたように思います。まだ上半身だけですが。下半身を戻すのはやっぱり大変です。ひたすら四股とぶつかりしかないですね。

さすがに巡業の最後はちょっと疲れたけど,私より付け人のジャスパー(荒篤山)のほうがもっと疲れてたみたいですよ。「おい,ジャスパー!」って呼んでるのに,ぜんぜん返事しないから,おかしいな?と思ってよく見たら,普通に座ったまま寝てました。失敗できない・寝れないで,心身ともにタイヘンだったと思います。なのにジャスパーは,ちゃっかり体重はがっつり増やしてるんだから大したもんだよね。もう私より大きいですよ。

福岡に来てからは,木瀬部屋を中心に出稽古に行ってました。木瀬部屋は大きい相手がいるので,勝てなくても思いっきりぶつかっていけるからいいんですよ。のびのびと稽古ができてる気持ちがしています。やっぱり全力でぶつかっていくっていうのは,自信になるんです。戻ったばっかりのころは,相手がやけに大きく見えて,ぶつかるのが怖かったんです。赤井(福轟力)に胸を出してもらうだけで,なんてデカいんだ!て怖かったくらいです。それが身体がだんだん戻ってくるにつれて,だんだん相手も小さく見えてくるんですよね。今じゃ赤井は卵に見えるよ(福轟力:え?!)ウソウソ。まだまだ,ようやくそういう感覚が戻り始めてきたってところです。

2~3年前に辞めた力士に会うこともあるんですが,みんな瘦せたりして現役の頃とはまったく違う身体になってて,それを見ると,なんとも言えない気持ちになりますね。2年ってこういうことなんだなって。そこを取り戻さなきゃいけないんだから,他の関取と同じことやってちゃ話になりません。やるしかない。毎日どの関取より番数をこなしてきた自信はあります。もうやるしかないんです,とにかく。

あと,先場所ちょっと怖かったんですけど,ちょっと振られたりすると膝がガクッと入りそうになることが何回かあったんですね。それがようやくここ数日かな,そういう不安がなくなってきて,踏ん張りがきくようになってきました。これもいい兆しだと思ってます。

ただ課題はやっぱり立ち合いですね。考えてやってはいます。一発でもっていかれたら話にならないけど,廻しをとるところまで行けば,なんとか勝負にもっていけますから。当たり負けしないで,ガッチリ食いつきたいですね。

写真今年は宿舎が須恵町に変わりましたけど,静かでいい感じですね。なんだか優しい方に囲まれて,天気も気温もよくて,おかげで自分たちの稽古だけに集中して,普段通りの日々で本場所を迎えることができそうです。私もしばらくは電話も切って,相撲だけに集中していました。ちょうど今,荒汐部屋はみんな,どんどん稽古して強くなる時期にあるので,まさにうってつけの環境だと思います。(右写真:須恵町の皆様にのぼりを立ててもらうのを見守る蒼国来)

巡業であらためて実感したんですけど,全然行ったこともないところなのに,凄い声援なんです。「蒼国来!蒼国来!」ってみんなでコールしてくれたり,握手会とか出させてもらった時も,感激で震えながら握手してくださる方とか,こんな自分の知らないところでもそこまで応援してもらってると知って,本当に,こりゃもう何が何でもガンバラナクッチャって,元気が出ましたよ。

もうね,私の場合は,あとは何といっても,場所で結果を出すことがすべて。結果でお見せするしかありません。場所で結果を出すだけ。

蒼国来

(稽古からの帰り道でも「ウォー!」「ガー!」と雄叫びを上げているほど,並々ならぬ気合いの蒼国来:そのほか稽古の写真など,蒼国来のFacebookに掲載されるとのことです)

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