荒汐部屋　大相撲

大相撲，荒汐部屋の日常をお届けします。師匠は元前頭・蒼国来。 [English guide to watching our morning practice]

荒汐部屋目次

【連載】平成25年九月場所を振り返って

突光力（序二段東18：2勝2敗3休）

は・は・は・は・は。もう，笑うしかないでしょ。

「好事魔多し」とは，正に，このことを言うのでしょうね。はぁ～あ。

場所前はマジで絶好調だったんすよ。稽古もできて，体重も増えて。初日はカンペキな立ち合いでした。めっちゃイイ相撲で，180キロぐらいある大きな力士を2秒くらいで一気に寄り切ったっすよ。怪我をしてしまった相撲も，自分が勝って怪我をしたんですからね。笑っちゃいますわ。人生上手くいかないもんっすね。

怪我した相撲は，自分が投げを打った時に，相手の体がもろ自分の左足の上に乗っかる形になって，膝が伸びてしまったんです。勝ち名乗りの蹲踞したら，うわ痛ッテェ，やべーって思って，脂汗かきながら，花道下がったんですけど，その後花道の奥で立ってもいられなくなって，倒れこんでしまいました。

以前左肘の怪我で休場が続いた時は，まだ歩き回れたんで良かったんですけど，今回は歩けないのがストレスたまりまくるっすね。窓開けてワーッ！！！と叫びたい気持ちになるっす。こないだ何日かぶりに外に出れた時は，外の空気だー！と思って，2回大きく深呼吸したっすよ。

ま，今回の怪我は不可抗力ですから，クヨクヨしてもしょうがないと思っています。いつも通り，前を向いて，そして華麗なる復活を果たすまでです。こんなことで，突光力の心は折れていませんから，引き続き応援お願いします。

ところで，この服どう思いますか？赤井さん（福轟力）が，見舞い品ということで買ってくれて，インタビューの時はどうしてもこの服を着てくれって言うんで着てるんです。それってつまり，赤井さんのしたたかな「好感度アップ作戦」に加担しろってことでしょ！！！しっかし，このヘンな色使い，どうっすか？「明るい色で若返りを！」とか言うんすけど，オレは老けてないし！！！・・・ったく，何なんすか。どう見ても自分っぽくない色っしょ？

え？モデルが良いからどんな服を着てもカッコ良い服に見えてしまう？ま～，ま～，それはそうそう，言わなくても分かってることで。

力山（三段目東97：2勝5敗）

この場所で決心したことがあるんですよ。

11日目，結果は負けたんですけど，相撲人生最高の相撲を取ることが出来ました。そう意味では，負け越しはしましたけど，収穫があった場所でした。

今場所の成績が，すべてを表しています。4連敗で，負け越し。久々に三段目に上がって，勝ち越してぇ～なぁ～，勝ち越してぇ～なぁ～，ばっかり考えてたら負け続けました。勝ちたい，勝ちたい，と思ってしまうと，簡単に引きとかにいってしまって，それで相手に押されて負けてるすよね。相手も三段目だし，研究もしてますからね。自分の引きを「待ってました！」とばかりに，攻めてこられましたね。負け越して，星勘定しなくなったら，その後は2勝1敗っすからね。自分みたいに，気持ちで取る力士は，迷っちゃダメっす。勝ちたいと思ったら，上体ばっかり手が出て足が出なくなってしまう。これじゃ，通用しないっす。

その「相撲人生最高の相撲」は，相手結構大きかったんですけど，とにかく前に前に突っ張って，たぶん手数も30発くらい出たんじゃないですかね。結果は負けましたけど，「これだ！」と思ったっすよ。

立ち合いから，変化しよ～かな～なんて，いなそうかな～，なんて考えてたらダメなんだな，と。立ち合いは，とにかく真っ直ぐ突き起していく。自分にはこれしかないんだと，心が一つに定まりました。

寛龍（三段目東96：5勝2敗勝ち越し）

・・・何かの間違いじゃないでしょうねぇ。

正直，こんなに勝てるとは思っていませんでした。今場所は初めての三段目で，昇進した嬉しさよりも不安の方が大きかったです。3連勝スタートした時は，「何か間違ってるんじゃないか？」，勝ち越した時は，「やっぱり何か間違ってるんじゃないか？」，そして5勝した時は，「あぁ，来場所が恐ろしい」と思いました。

今場所は吊りに行く相撲も見られた？そうですね，流れで二番ほど。これまでは土俵際に寄られて，苦し紛れのうっちゃりみたいなのはありましたけど，今場所は前に出れての吊りだったのはちょっと，今までとは違っていたかな，と。稽古場で寛龍が積極的になった？うーん，そうかもしれません。少し相撲が面白くなってきたのでは？うーん，そういうところも，あるかもしれません。

親方も言っていた通り，これまで入門から大きな怪我もなく，休場なしでやってこれています。怪我という怪我は，スリ傷とか，突き指くらいで。前に浴びせ倒しで変な格好で倒れて負けた時も，スリ傷で済みました。

今場所から後援会の方達が，本場所で一番頑張った力士に「荒汐敢闘賞」を下さることになって，その初の受賞者に選んでもらいました。賞をもらった時の感想？周りの力士達の，う・ら・め・し・そ～～～な視線が痛かったですけど，嬉しかったです。